2021年4月13日放送

老舗食堂店主、戸倉 孝二さん。
鎌倉で江ノ電と同時期に創業したという老舗食堂で出されるのは、今が旬の、しらす丼。
「そもそもしらすは朝晩食べているような湘南地域のソウルフード、それをうちの店が
丼のスタイルにして初めてお出ししました。」
地元で水揚げされた朝どれのしらすだけを使います。
「そんなに大きな漁港はないんですよ。小さな網で必要なだけ漁をするという形なので、
身が崩れないというか、ふっくらしたしらすになっていますね。」
生しらすではなく釜揚げしらすを使うのは、ご飯との相性から。
「塩水でゆでて天日で干して、きゅっとうま味を閉じ込めた釜揚げしらすは、
生しらす以上にうま味がご飯には引き立つと思います。」
実は、そのご飯にもおいしさの秘密がありました。
しらすと白ゴマをさっくり混ぜこんでいます。
「ゴマの風味、それがしらすのうま味とご飯の甘みと引き立てるので、
最初から最後まで、しらすをおいしくいただけるようにしています。」
湘南名物のしらす丼を作り続ける戸倉さんが共感する言葉…

「料理というのは、どこまでも理(ことわり)を科(はか)ることで、
不自然な無理をしてはいけないのであります。」

芸術家・美食家 北大路魯山人(1883-1959)の言葉です。

「生は生でそのまま召し上がって頂いて、
釜揚げしらすは丼ぶりでおいしく食べていただけたらと思います。」