2021年6月8日放送

東京琴職人 金子 政弘さん。
雅で美しい調べを響かせる東京琴。
金子さんは、1本の木から琴を製作する、数少ない職人です。
「弦の振動が伝わって、楽器本体が振動してくれて音が出る。
東京琴と言うのは、表面が平べったいので振動しやすい構造で、
いわゆる良い音が鳴るお琴が多い。」
琴の音色を決めるのは、桐(きり)材の厚さ。
琴の内部を削ったり彫りを入れたりして、最適な厚さに仕上げます。
「振動しやすい構造にするためです。
桐の質によって堅かったら薄くして鳴りやすくします。
薄くし過ぎると今度、振動し過ぎて鳴らなくなってしまう場合がある。」
演奏者の出したい音に合わせて、琴糸の張りも繊細に調整。
「糸を張ったあと、どれくらい伸びるって予想がついている訳です。
その分だけ強く締めてあげる。そこが難しいところですね。」
最高の音色を奏でる琴を作り上げる、金子さんが共感する言葉…

「詩は音楽にならなかった言葉 音楽は言葉にならなかった詩」

ドイツの作家 ヘルマン・ヘッセ(1877-1962)の言葉です。

求めるのは、曲と調和する琴の響き。
「興味を持っていただくということから入りますから、
やっぱり和楽器の音に親しんでほしいというのが1番です。」