2021年7月20日放送

老舗ウナギ店 調理長 廣江英彦さん
東京、上野でおよそ300年続くうなぎの老舗「伊豆榮」。
森鴎外をはじめ多くの文豪にも愛されてきた味を、調理長として守り続けています。
「江戸中期、上野の不忍池で良質なうなぎがとれた。
そこから商売が始まったって聞いてます。」
伝統の味を受け継ぐ熟練の技。中でも仕上がりを左右するのが“串打ち”です。
「皮目の方に刺さなきゃ、串は入らないんですよね。
なるべくうなぎがまっ平になるように。
凹凸があると、焼き上げの時に色にムラが出たりとか、見栄えが悪くなる。
秘伝のタレは、創業時から絶やすことなく継ぎ足してきました。
「やっぱりタレは生きてますから変わっていきますよね。
まろやかさっていうのかな。初代の人が考案したタレを、
何年も何年も守り続けてきた結果が今に至ってる。」
この道30年。繊細なうなぎの調理は経験が物を言います。
「よく言われてるのが“串打ち3年、裂き8年、焼き一生”
納得のいく焼き方ができるまで、一生かかるんじゃないのかなって」
先人に恥じない味を追求する廣江さんが共感する言葉…

「総じて人は己れに克つを以て成り 自ら愛するを以て敗るゝぞ。」

薩摩藩士 西郷隆盛(1828-1877)の言葉。

「お客さんの“おいしかった”の一言ですよね。もう、それが何よりだと思います。」