2021年9月7日放送

梅農家 川久保 和美さん
関東屈指の梅の生産地、小田原・曽我梅林。
夏の風物詩が600年ほど前から続く、梅の土用干しです。
「小田原は宿場ですから、箱根越えの時に梅をおむすびに入れて、
保存食とか、梅干しを持たせたということらしいんですよね。」
木から自然に落ちるまで完熟した梅を収穫し、3週間ほど塩漬け。
その後、夏の強い日差しで3日間干します。
「表で2日間、裏返し1日干して、全体が茶色っぽくなっていく。
微妙なんだけど、生っぽいところは『干しが甘い』って言うんですけど
カビたりする。雨とか曇りが続いた時は経験で、色を見ながらひっくり返す。」
一つ一つ手で返した干し梅を、回収するタイミングも経験が物を言います。
「多分1時間余計に干したら硬くなるし
塩分が高くなってしまうっていうのがあります。」
真夏に5トンもの梅を手で返し、梅干しを作る川久保さんが心に思う言葉…

「積小為大」
小さな努力の積み重ねが大きな収穫や発展に結びつくという意味

江戸時代の農政家 二宮尊徳(1787-1856)の言葉

「なんか変なこだわりだよね。
そこまでしなくたって梅干しになっちゃえば変わらないんじゃないかなって
気がするけども。『すごく幸せな気分になります』とかね、
お客さんにそういうこと言われちゃうとやめるわけにいかないですよ。」