放送内容

2015年8月12日 ON AIR

アメリカ脱獄王の真実

 1978年、米ノースカロライナ州。のちにアメリカ犯罪史上最強の脱獄王と呼ばれる男がいた。スティーブン・ラッセル。当時警察官だったスティーブンは、この頃結婚し子どもにも恵まれていた。だが彼には愛人がいた。しかもそれは男だった。やがてスティーブンは、愛人ジェームスとの生活費に困り保険金詐欺を始めた。ジェームスがHIVに感染し発症したことをきっかけに、スティーブンは仕事を辞め妻と離婚。毎日つきっきりで看病をした。しかし、まもなくスティーブンは保険金詐欺で逮捕。懲役6か月となり刑務所に収監された。恋人はいつ死んでしまうか分からない状態。そんな中、スティーブンは脱獄を決意する。


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 毎日看守の動きを観察し、警備が甘くなる瞬間を発見したスティーブン。1993年5月13日、ついに脱獄を実行した。スティーブンは盗んだ女物の服を着て、盗んだ無線機を看守に見せると、堂々と出入り口から脱獄することができた。この刑務所の看守は、無線機を持っている人物はみな私服の警官だと認識していたのだ。大胆不敵で鮮やかな手口。だが...1週間後あっけなく逮捕され刑務所に逆戻り。詐欺と脱獄の罪で懲役3年となった。


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 そして仮出所すると、スティーブンはなんと大企業の重役という職を得て、豪邸に住んでいた。前科者のスティーブンがなぜそのような地位を手に入れることが出来たのか?実は、スティーブンは架空の求人広告を新聞に掲載し履歴書を集めると、それを元に完璧な履歴書を作り上げ、大企業に入社していたのだ。豪邸では新しい男の恋人、フィリップ・モリスとの贅沢な生活。だが、この大企業で多額の金を横領していたスティーブンは、またしても逮捕されてしまう。そして愛する恋人に会うため、スティーブンは再び脱獄を計画する。
 偽の保釈指示書を作り、判事のフリをして電話を掛けるなどの工作を行なったスティーブン。すると保釈金を大幅に引き下げることに成功。保釈金を難無く払い出所することができた。だが...、今回もまたすぐに発見され、逮捕されてしまう。懲役は45年となった。


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 しかし、スティーブンはまたも脱獄を計画していた。囚人対象の美術講座に申し込むと、緑のペンを使い、木や森を描いた。そして、緑のペンばかりを使い続けること、4か月...。3度目の脱獄に使ったものはなんとこの大量の緑のペンだった!4か月で集めた110本の緑のペンのインクを、貯めた水の中に入れ、白い囚人服を緑色に染めた。スティーブンは、刑務所に自由に出入りしている緑の制服を着た医療スタッフに目をつけていたのだ。スティーブンは緑の服を着、医療スタッフに化けると、急患が来たと言い次々と扉を通過。またも堂々と脱獄に成功し、そのまま愛するフィリップの元へ!しかし、その後指名手配されると、まもなく2人とも逮捕。別々の刑務所に収監されることになった。


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 しかし...、スティーブンはここでも脱獄を諦めていなかった。4度目の脱獄は、HIV患者のフリをし、体重を大幅に減らすと、病院への移送中に自らの死亡情報を流した。この脱獄も成功。そして、弁護士ライセンスを偽装し、弁護士として愛人フィリップを助けるべく、刑務所にやってきたスティーブン。しかし弁護士ライセンスの偽造がバレ、またもやあっけなく逮捕された。


 4度目の脱獄で逮捕された現在、スティーブンは懲役144年の刑に服している。今はフィリップとも別れ脱獄する目的はないという。そんなスティーブンについて、かつての恋人フィリップ・モリスに仰天スタッフは会いに行った。「スティーブンはカリスマ的で誰もが好きになる人物。しかし、言っていることは嘘ばかり。今は二度とスティーブンには会いたくない」と語った。今はおとなしく刑務所にいるスティーブンだが、5度目の脱獄はあるのか・・・。

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