放送内容

2016年6月29日 ON AIR

親子の命を奪った料理

インドネシア・バリ島。世界各国からバカンスにやってくる人気のリゾート。
この島でオーストラリアから旅行に来ていた親子が突然、酷い下痢や嘔吐に見舞われ
命を落とした。


宿泊先のホテルなどが徹底的に調べられたが、原因はわからず...
結局、親子の遺体はオーストラリアへ輸送され、遺体解剖が行われた。
その結果、原因が判明する。


それはマヒマヒ、別名シイラと言われる魚だった。
確かに亡くなる前夜、親子はレストランでこの魚のフライを食べていた。
だがこの魚、特に毒を有するものではなく、良く料理などにも使われる。


今回の原因はヒスタミン中毒というもの。
魚にはヒスチジンというアミノ酸が含まれている。
マグロ、カツオ、カジキなど主に赤身の魚に多いと言われている。


このヒスチジンがある微生物の働きによってヒスタミンという化学物質に変化する。
ヒスタミンを一度に100㎎以上食べるとヒスタミン中毒を発症するとされている。
食後1時間程度で下痢、嘔吐、頭痛、蕁麻疹などの中毒症状が現れる。


日本でも給食や食堂などで出された魚料理が原因で
ヒスタミン中毒を発症した事例がいくつもある。ただし死に至ったケースはない。


では一体なぜ、親子は死に至ったのか!?
親子の死亡診断書にこのような記述を見つけた。アレルギー様症状、そして喘息。


その関係について医師によると、
ヒスタミンは気管支の筋肉を収縮させる作用があり、
気管支の筋肉の収縮により呼吸がしづらくなった可能性があるとの事。


元々気管支喘息のある人は空気の通り道である気道が非常に過敏。
だから同じヒスタミンを摂取してもより過敏に反応してより重症になりやすい。
その為、死に至った可能性があるのだ。


そのヒスタミンを作り出す微生物は温度が高いほどよく働く。
ヒスタミンを増やさないためには魚は出来るだけ低温での保存が効果的だ。

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