放送内容

2016年8月10日 ON AIR

息子を守りたい父親の大事件

去年1月。アメリカ南部のテキサス州パインハースト。
静かなこの街に住む、父と息子のピッカリング親子が後にとんでもない事件と
奇跡を起こすことになる!


"愛する息子が突然意識を失う"


1月10日。
父、ピッカリング2世は電気設備の小さな会社を営んでいる。
そして、父のもとで働く、息子、ジョージ・ピッカリング3世。


父にとって結婚して11年目に授かったジョージは待望の息子だった。
自分と同じ名前をつけ、愛情を注いだ。
2年後には二男も生まれ、一家はにぎやかになっていく。


しかし忙しさから夫婦はスレ違いが多くなり、9年前に離婚。
二男は母が引取り、長男ジョージはこの家に残った。


2人暮らしとなったある夜のこと。
頭が痛いというジョージがいつもより早く寝床についた。
しばらくして、父はジョージのことが気になり寝室を覗いた。
すると息子は全身、痙攣を起こしていた!


実はジョージにはてんかんの発作があった。
脳が一時的に過剰な興奮状態に陥り、痙攣や意識が失われる発作を起こす「てんかん」。
殆どの場合、脳の一部になんらかの傷があり、体に命令を送る電気信号が
異常に流れることにより起こる。


ジョージの場合は10年程前、車の事故で頭を強く打ったことが原因で
「てんかん」の症状を起こす事があった。
ジョージの痙攣は通常1~2分で収まる事が多かったが、この時は明らかに長い。
長時間痙攣が続くと、無酸素状態になることもあり、命の危険が。


荒い呼吸に、大量の汗。いつもと違うと感じた父は、
救急車を呼び、かかりつけの病院へ。
その後、様々な検査が続き、息子と面会が出来ない状態に。
元妻テレサと、二男のブランドンも病院に駆けつけた。


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搬送から3時間。医師が告げた言葉は「脳死」だった。
絶望的な宣告だった。


"息子の回復を信じて部屋に立てこもる父"


アメリカでは脳死判定において推奨される検査基準はあるものの、
国内で統一された判定基準はない。最終的にはそれぞれの病院の判断に委ねることとなる。
このときも、脳波の測定など、常識的な検査が行われた。


父はもう一度検査をしてほしいと医師に伝えるが汲み取ってもらえない。
さらに、衝撃の事実が告げられた。ジョージは臓器提供の意思表示をしていたのだ。
アメリカでは本人の意思が尊重されるため、家族の同意を得る必要はない。


臓器提供の意思表示は国内でデータベース化されており、意思がある場合は、
直ちにその専門機関に報告されるシステムとなっていた。


しかし、父は納得できない。意識が戻る可能性がゼロだとは思えない!
でも臓器提供の手続きは進んでいる。
さらに5時間。意識は依然戻らないまま。


家族が見守る中、つらい現実へのカウントダウンはもう止められないのか?
名前を呼ぶ声ももう届かないのか?


救急搬送から15時間が過ぎていた。
やはり納得がいかない父。息子を守るには、もうこの方法しかない!


臓器移植の為、ジョージを連れ出そうとする医師らを追い出し、
父は家から持ち出した銃を片手に部屋に立てこもった!


通報を受け、地元警察が駆けつけた。
テレビを始めとするメディアも押し寄せる病室たてこもり事件に。
特殊部隊・SWATも投入され、病院内に対策本部を設置。


警察の説得は続くが、父は聞く耳すら持たない。
息子は必ず意識が戻るはずだと主張し続けた。


立てこもって4時間。冷静な話し合いにはならず、いつ暴走するかも知れない状態が続く。
この時父は、我が子の手をずっと握りしめていた。
そんな時だった。ジョージが手を握り返したような気がした。


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息子が生き返ったと確信した父。
すぐに医師を呼ぶように叫んだが、そんな言葉を信じる者はいない。
逆に危険と判断したSWATがついに突入する!


こうして、父親は逮捕された。
しかし事件は、これで終わりではなかった。


"脳死判定から意識を取り戻す息子"


父親が逮捕された直後、脳死とされていたジョージがなんと意識を取り戻した。
この出来事は、凶悪な立てこもり事件から一転、脳死とされた息子を守るために
父親が起こした奇跡として改めて大々的に報道されることになった。


とは言え父は、病院に銃を持ち込んだ罪で半年間拘留された。


あれから1年半。仰天スタッフは、刑期を終えたピッカリングさんのもとを訪ねた。
迎えてくれたのは病院に立てこもった父のピッカリングさん。
そして息子のジョージさん。今も親子2人で暮らしている。


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事件後、息子のジョージさんは下半身に麻痺が出たものの、順調に回復し、
現在は以前のように2人で仕事の現場にも立っているという。


ジョージは唯一自分の回復を信じてくれた父の行動に感謝しているという。
息子を想う父の一念が起こした奇跡だった。

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