放送内容

2016年11月23日 ON AIR

なぜ彼は不幸になったのか?

2006年、アメリカ・フロリダ州。
真面目な貧しい青年の運命が大きく変わろうとしていた。


"多額の当せん金が不幸の始まりだった"


トラックの運転手をしているアブラハム・シェイクスピアは
なんと、なけなしの金で買った懸賞くじが当せん!
日本円にして、その額は約35億円だった。


フロリダ州では、懸賞くじがあたると宣伝のために必ず公表される。
夢のような大金を手にした青年に取材が殺到、ニュースは街中に広がった。


アブラハムは、税金が引かれた20億円を手にすることになったが...


なんとその大金を一括で受け取り、すべてを家に持って帰ってきた。
実は一家は貧しすぎて銀行口座を持っておらず、アブラハムはこの大金をあろうことか、家で保管しようとしたのだ。


慎ましい生活をしていたアブラハムは特に欲しいものもなく、
お金をただただ保管していた。すると...彼に恐ろしい魔の手が忍び寄る!


ある日、悪友が親の治療費が払えないからお金を貸してほしいと言ってきた。
アブラハムは、頼まれると断れず...。口約束だけで1000ドルを渡してしまった。


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すると、それ以来、お金を借りに来る友人がひっきりなしに...。
頼まれるがままに貸し続けたが...貸したお金は一度も返ってくることはなかった。


アブラハムは友人に騙されている気がして悲しかった。
しかも、それは友人にとどまらず叔父も。
やはり断れない...その噂はどんどん広がり、知り合いという知り合いから
金を無心される日々がなんと2年間も続いた。


"信用できる人物との出会い?"


そして2008年、運命が変わる!
ドリス・ムーアというジャーナリストがアブラハムの本を作りたいと訪ねてきた。
実は街で偶然耳にしたアブラハムの境遇が気になってやってきたのだ。


アブラハムは自分を助けたいと語るドリスの話をとりあえず聞いてみることにした。


アブラハムは、この2年間のことをドリスに話し始めた。
お金は自宅に置いてある事も...。


彼女は親身になってアドバイスしてくれた。
そして何回も、アブラハムの家に足を運び、話を聞いた。


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そんなある日、ドリスは資産運用を薦めた。
こうして、ドリスの勧めでアブラハムは家も新しく購入した。
ドリスと出会ってから人生がステップアップしているようないい気分だった。


さらにドリスはお金を管理する会社を設立する提案もした。
しかしアブラハムはほとんど学校にも通ったことがないため、会社の設立なんて
見当もつかない...


そこでドリスは資産管理のアドバイザーとしてアブラハムをサポートすることに。
家に保管していた全ての金を銀行に運び、会社の口座に入れた。


口座の管理は、全てドリスが行った。アブラハムが金を持てばまた貸してしまうかも...
という彼女の提案だった。


"アブラハムの財産を吸い取る悪女"


しかし、ドリスの本当の目的はアブラハムのためを思っての事ではなかった。
最初からアブラハムの金が目当て。
作った会社の口座から好きなようにお金を引き出していく。


ジャーナリストというのもウソ。
アブラハムの信用を勝ち取り、会社の設立を提案し、自分が自由に金を引き出せる
システムをつくりあげたのだ。


ドリスはその金を湯水のように使った。そしてさらに、とんでもない使い方をしていく。
付き合っていた年下の彼氏に、なんと1億円の家をプレゼント。


これだけ好きに使ってもアブラハムにバレずに済んだのには理由が。
銀行からアブラハムの家に毎月、口座の明細書は届いていたのだが、
その書類はドリスが朝早くに行って処分していたのだ。


しかしいつまでも上手くいくわけはない。
ある日、ドリスよりも先に、アブラハムがポストへ...。
そこにあった明細書に記載されていた残高は預けていた金額の半分ほどに減っていた。


アブラハムはドリスにこの事態を問いつめる。
しかしドリスは平然な顔をして、別の口座に移したと答えた。


もちろん別の口座など存在しない...。
ドリスはそろそろアブラハムを騙しきれないことを感じていた。
とはいえ今の贅沢な生活をもはや手放せない。


そこでドリスは暴挙に出る。
自分に不信感を持ち始めたアブラハムを殺害してしまったのだ。


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ドリスは"ゴミを埋めるから"と嘘をつき、恋人に庭に穴を掘らせると、
恋人の留守中に自ら遺体を運び、庭に埋めた。


さらにアブラハムの筆跡を真似して彼になりすまし、
しばらく旅に出るという内容の手紙を親や知人に送った。


ドリスはアブラハムの金で豪遊を続けた。
さらになに食わぬ顔をして、アブラハムの豪邸に住み続けた。


"ウソはウソによって暴かれる"


そして7か月が過ぎたころ、家に警察がやって来た。
ずっと手紙しか寄こさない息子を心配した母親が捜索願を出したのだ。


警察が動いている...何か手を打たなければ...。
ドリスは、グレッグという男に話を持ちかけた。


グレッグは以前、バーで出会い意気投合した男。
刑務所から出てきたばかりで金のためならなんでもやると言っていた。


ドリスは殺人の罪をかぶってくれる人をグレッグに紹介してもらおうと考えた。
5万ドルで商談は成立。数日後、グレッグは男を連れてやってきた。


そして3人は、アブラハムの遺体があるドリスの恋人の家へ。


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移動させようと掘り起こしたアブラハムの遺体は白骨化していた。
ドリスが遺体を運び出そうとしたとき、グレッグの手が止まった。
そしてドリスに信じられない一言を伝えた。


グレッグ「警察だ。君を逮捕する」


実は母親からの捜索願が出された後、警察はドリスの行動をマーク。
囮捜査官が彼女の行きつけのバーで客を装って近づき、元囚人と偽り、
ドリスを信用させていたのだ。


もちろんもう1人の身代わり役も捜査官。
遺体の発見が決定的な証拠となり、アブラハムの死後10か月で逮捕。
ドリスは裁判で最後まで否認したが、第1級殺人で有罪判決となった。


仮釈放なしの終身刑が言い渡されたが、ドリスは顔色ひとつ変えなかったという。

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