放送内容

2016年12月21日 ON AIR

愛する妻のためにエルビスのモノマネ

ひとりの少年が恋をした。それは3歳年上の女の子。
ずっと片思いだったが、それから21年後...偶然2人は再会した。
そして結婚を考えたその時、あまりに残酷な宣告を受ける。
その時、男性のとった行動にアメリカ中が涙した。


"エルビスのモノマネで町の人気者に"


1997年、アメリカ・バーモント州。
15歳のマークは近所に住む3歳年上のリサに恋していた。


彼にとっては高嶺の花。思いを打ち明ける事なんてできなかった。
そんな時...高校を卒業したリサは他の州の大学へ進学。憧れの女性は町からいなくなった。
マークの淡い恋は、終わってしまった。


その後、高校に進学したマークにある転機が。
この日は文化祭。するとあるクラスメイトから促されプレスリーのモノマネを披露した。
驚きのクオリティに周囲は大ウケだった。


この日から学校中の人気者になり、小さい街での出来事ではあったが
マークはなんとレコードデビューまで果たした。


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やがて、マークは軍に入隊するため町を出た。
そして28歳で結婚。男の子を一人もうけるがすぐに離婚。
息子を引き取り、昔からの夢を叶えるためこの町に戻ってきた。


その夢とは...歌手。
高校時代、多くの女性を虜にした美声は瞬く間に地元のイベントや祭り、
結婚式などで引っ張り凧に。180kgに増えた巨体を揺らしステージをこなしていく。


そしてマークが37歳になった1999年、人生を大きく変える出来事が起きる。
この日もステージを終えると、1人の女性が声を掛けてきた。
聞き覚えのある声...なんとあの憧れ続けたリサだった。


"憧れの女性との交際がスタート"


21年ぶりの再会。
実はリサも音楽活動を行っていて、たまたま同じイベントに出演する予定だったのだ。
しかも彼女も離婚を経験して、一人で娘を育てていた。


やがて、2人は食事に行くようになり、互いの家族と一緒に過ごすようになった。
そんな中でリサはマークが昔、この町のプレスリーと呼ばれていたことを知った。
もちろん当時のプレスリーのことを大学進学で別の州にいたリサは知らない。


リサが昔の友人に会いマークの話しが出ると、皆がプレスリーの話をする。
そして必ずと言っていいほど、そのあとにマークの人柄の良さを褒めていた。
確かにマークがその場にいると空気が一気に明るくなる。
いつも笑顔で誰にでも同じ態度で接するマーク。リサもそんな彼にすっかり惹かれていた。


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こうして交際は始まった。
時は流れてこの関係が14年以上も続いた2013年。
マークの息子は既に20歳。リサの娘も17歳。


娘の大学も決まり、祝いをしていると子どもたちから幸せになって貰いたいと
結婚を促された二人。ついにマークはリサにプロポーズをした。


"幸せな二人に忍び寄る影"


結婚式を1か月後の5月24日に控えたころ、リサは咳に悩まされていた。
咳止めの薬を飲んだが、効果はない。病院で肺炎と診断された。
しばらく歌の仕事は休むことになった。抗生物質が処方されそれを飲んでいた。


だが、3週間経っても症状は治らない。
そこで設備の整った病院で精密検査を受けた。


そんな中、2014年5月24日、2人は結婚式を挙げた。
初恋から40年、マークの夢は叶ったのだ。


しかし、わずか3日で幸せな2人にある不幸が襲い掛かる。
検査結果を聞くため、病院を訪れた2人は思いもしないことを宣告された。
精密検査の結果、リサの肺にガンが見つかったのだ。


さらに肋骨にも転移が確認され、すでにステージは4に達していた
肺ガンのステージ4はガンの大きさにかかわらず、脳、骨、肝臓などの臓器に
転移している状態。5年生存率は一桁台にまで下がる。


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マークはもちろんそんな宣告を受け止めることが出来なかった。
しかしその後もいくつもの病院をまわったが、絶望的な意見がほとんど。


受け入れられないマークにリサは言った。
現実を受け止めて病気と闘いたいと。
こうしてリサとマークはガンと闘う事を決意した。


抗ガン剤治療は副作用をともなう。
しかし、治療を始めてしばらく経つと、体調は徐々に良くなってきた。
唄う事は出来ないが、子ども相手のピアノ教室も始めた。


ところが治療を始めて1年半が経過した頃、再び体調が悪化。
咳き込む事が多くなり、体の痛みが強くなった。
やがて、医師にもう手の施し様がない状態だと告げられた。


リサは残り少ない命の中でやり残したことについて考えた。
そこでふと一つだけ後悔している事を思い出した。
皆がよく言うマークがやったプレスリーのモノマネ。あれをまだ見ていない。


リサは一度でいいからマークのプレスリーを見てみたいと思うようになった。
リサの最後の希望を聞いたマークは、言葉を飲み込んだ。
みんなが知っているプレスリーのモノマネは現在の180kgもある身体では不可能。
しかし愛するリサの為、マークはある決心をした。


"もう一度エルビスになる為に一念発起!"


それからのマークは、翌朝から4時に起床。
そして食生活を改めた。口にするのは野菜とフルーツのみ。
そして5時から7時までスポーツジムでウエートトレーニング。


もちろん、仕事も全力でパフォーマンスを行い、仕事帰りにまたジムに通う!
そんな中、医師に言われたリサの余命は過ぎようとしていた。


1日でも早くプレスリーができる体型に戻さなければ...
マークはイベント会場でも一切食事に口をつけなくなり...。
ジムでのトレーニング以外にも時間を見つけてはランニング。


どうしても辛い時はこう考えた。
必死になって厳しい減量をすれば、神様がリサの病気を治してくれるのでは...、
自分が苦しめば苦しむ程、ギフトを与えてくれるんじゃないか...。
そんなことを考えながら自分の体をいじめ抜いた。


こうして8か月。マークの体重は100キロに!なんと80キロの減量に成功した。
そして今年の10月1日。リサさんとの約束はついに実現した。


マークがステージに登場。
この日のためにプレスリー本人の衣装を作っていたカナダの店に
白いジャンプスーツを特別注文。
30年前、リサさんが見られなかったステージを完全再現するために。


そして最後の曲。マークはリサをステージに上げ、
リサがもっとも好きな曲「サレンダー」を熱唱した。


このステージから2か月。
仰天スタッフはバーモント州の自宅を訪ねた。


ガンの宣告から2年と7か月。
診断当初は余命2年とも言われたが、リサは元気そう。
いつかマークとデュエットすることを目標に今もガンと闘い続けている。


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そしてマークはこれからもプレスリーのショーを続けるという。
もちろんリサと一緒に。

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