放送内容

2017年2月15日 ON AIR

シングルマザーの勇気

一人の女性が赤ちゃんを授かった。
そしてここから世界中が驚く展開となる!


"名前も知らないMr.ハッピーとの出会い"


2011年、オーストラリア、ビクトリア州のサン・レモ。


42歳のアミナ・ハート。
彼女は精子提供の相談で病院にやってきていた。


独身のアミナは精子提供を受け、子どもを授かりたいと思っていた。
父親のいない子どもは、18歳になるとドナーの身元を知ることが出来る。
そして母親がドナーの事を知りたい場合は、出産後にファーストネームだけ知る事が出来る。
そういった説明を病院から受けていた。


しかし彼女はドナーについて興味はなかった。
健康な精子を提供してくれればそれでいい。その時はそう考えていた。
ドナー候補のプロフィールが書かれた封筒をもらって家に帰ったアミナ。


家で母親と一緒にプロフィールを見た。
封筒には3人の精子提供者のプロフィールが書かれていた。
写真は無かったが、生年月日、身長、体型、肌や髪、目の色、職業に趣味嗜好。
そして生まれてくる子どもへのメッセージまで書かれていた。


アミナは1人のプロフィールに目を止めた。
彼には4人の「幸せで健康」な子どもがいた。
「幸せで健康」。これこそアミナが最も求めているものだった。


彼は酪農を営み、地元のフットボールチームのコーチをしているという。
子どもへのメッセージも温かさにあふれたものだった。
アミナはこのドナーから精子の提供を受けることを決めた。


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そして幸せがあふれているプロフィールから、まだ名前を知らないこのドナーを
「Mr.ハッピー」と呼ぶことにした。


そして数年後、この「Mr.ハッピー」と自身の母親が
アミナの人生を大きく変える事になる!


"体外受精でシングルマザーに"


しばらくして、アミナの卵子を摘出し、Mr.ハッピーの精子と体外受精。
そしてアミナの子宮に移植した。


お腹の中で大切に育て、2012年8月14日。
アミナは無事3980gの大きな女の子を出産。
病院の検査を受け、健康な状態である事も認められた。
それを聞いて安堵するアミナ。


実は彼女にはつらい過去があった。
アミナは以前結婚し男の子を授かっていたが、その子は幼くして病気で亡くなった。
ほどなくして離婚。どうしても子どもを育てたい。ずっとそう思っていた。


そんな時、好奇心旺盛で行動力のある母が強く勧めたのが体外受精だった。
それによりアミナは体外受精を決意し、出産するまでに至った。


こうして誕生した女の子。名前はレイラと名付けられた。
レイラはすくすくと成長していった。
肌は白く、金髪。青い目をしている。


亡くなった息子は肌も髪の毛も目も自分に似ていた。
でも、レイラは違う。Mr.ハッピーの遺伝子を強く受け継いでいた。


そんな娘を見るたびに考えてしまう。
Mr.ハッピーはどんな人なのか?


そういえば精子提供の説明で、出産後はファーストネームだけなら教えてもらえると聞いた。
名前だけならと、アミナは提供者の名前を問い合わせる事にした。
Mr.ハッピーのファーストネームは「スコット」という事がわかった。


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アミナより2つ年下の41歳で白い肌、金髪、青い目。
自分と同じビクトリア州に在住している酪農家。
そして地元のフットボールチームのコーチをしている。


アミナはこれ以上Mr.ハッピーについて知りたいとは思わなかった。
レイラが18歳になった時、知りたいと思えば問い合わせる、そう考えていた。


"母親がMr.ハッピーについて調べ始める"


だが、好奇心旺盛な母は違った。
母は白人のオーストラリア人。一方で父は中米カリブ出身の褐色の肌、黒い目、縮れ毛。
アミナが生まれて間もなく両親は離婚したため、母が一人でアミナを育てた。


アミナは父親譲りの褐色の肌、黒い目、縮れた黒い毛だった。
そんな娘から今度は色白で金髪、青い目の子どもが生まれたのだ。
アミナの母は、レイラの父親がどんな人物なのか気になって仕方がなかった。
そして、アミナには言わずに密かに調べ始めた。


とはいえ、ビクトリア州は日本の本州よりも広い。
簡単に探せる情報ではない。ところが、母親のリサーチ能力はその上を行っていた。


しばらくして、それらしき人物を牛のブリーダー協会の名簿から発見。
ファーストネームが「S」から始まる唯一の人物で、フットボールのコーチをしている。
アミナはこの母親の行動にあきれたが、母親の好奇心は止まらなかった。


数日後、「S」で始まるそれらしき人物のフルネームが判明したという。
「スコット・アンダーソン」と言う名前で写真も見つかった。ファーストネームが一致したのだ。
その人物はレイラと同じ白い肌で金髪、瞳も青かった。


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写真を見て、アミナの心は揺らいだ。
娘に似ている...俄然、興味がわいた。


母親は会いに行くべきだと主張。
しかし、急に行って向こうが困惑するのではないかとアミナは思った。


すると母は書類を見せ、正式な手続きを踏まえて会うことが可能だと伝えた。
実はMr.ハッピーのプロフィールには子どもが18歳になる前に親が連絡することに対し
OKだという項目にサインをしていたのだ。


これを見てアミナは逆に怪しさを感じるようになった。
元々子どもも4人いる。家族は精子提供を知っているのか?
もしも会いに行ったらレイラを取られるんじゃないか?少し不安になった。


しかし好奇心旺盛な母親はそんなことはおかまいなし。
こういう制度があるのならと会いに行く事を勧めた。


このままでは自分の代わりに母親が彼に会いに行くのではないか?
そう思ったアミナは意を決して会いに行くことを決めた。


"Mr.ハッピーの正体が判明する"


アミナは母親に半ば強引に背中を押され、
ドナーとのコミュニケーションを仲介する組織に連絡をとった。


後日、書類が送られてきた。
ドナーの名前はスコット・アンダーソン。
やはり母親が探し当てた人物だった。
そして彼はいつでも連絡してくれて構わないとサインをしていた。


しかしアミナはまだ不安をぬぐいきれなかった。
コチラの身元も向こうにばれてしまう。もし危険人物だったら。


そんな不安を含みながら、まずはスコットにメールを送ってみる事にした。
メールの内容は、娘レイラの事。自分にとってどれだけ大切かという事。
そしてそんな娘を授けてくれた感謝の気持ち。何度も文章を直しながら打ち込んだ。


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少し躊躇はあったが、メールを送信。
スコットからの返事はすぐに来た。


彼は自分の家族について書いてきた。
妻とは離婚しており、息子3人、娘1人を自分一人で育てているという。
文面から、自分が思い描いていたMr.ハッピー像が浮かんだ。


きっと彼はいい人。疑い過ぎだったかもしれない。
2人は自然とメールのやりとりをするようになった。
そして求められるままレイラの写真を送り、その成長を報告し続けた。


そして、レイラが1歳になったらスコットのもとを訪ねるという約束をした。
その日はあっという間にやって来た。


"スコットとの出会い。そして信じられない結末に!"


レイラの1歳の誕生日から4日後の2013年8月18日。
アミナはレイラを連れてスコットのもとを訪れた。
不安の中家のドアをノックすると、そこに現れたのはさわやかな印象のスコットだった。


来てそうそう、牧場を案内すると言うスコット。
そこにいたのは、8歳の末娘と18歳の二男。笑顔でアミナを迎えてくれた。
大自然でしっかり育てられている子どもたち。


プロフィールに書いてあった通り、幸せで健康な子どもたちだった。
スコットの父親としての一面が見られて、アミナもどこか安心した。


以前息子を亡くしたこともスコットに伝えた。
親身になって言葉をかけてくれるスコットに少しずつ心を開くアミナ。
この日から頻繁に彼のもとを訪れるようになった。


ほどなくしてなんと2人は結婚した。
アミナにとってスコットは真のMr.ハッピーとなった。


スコットの子ども達もアミナとレイラを歓迎してくれた。
アミナは心から信頼できるパートナーを手に入れたのだ。


結婚からおよそ1年。
アミナは当初、スコットについて娘の出産の手助けをしてくれる人で
娘の父親という認識はなかったという。


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それが交流を深めていくうちに最終的に人生のパートナーとなった2人。
そのきっかけを作ってくれた母親には感謝していると語っている。


都会育ちでキャリアウーマンだったアミナは
今、スコットと共に動物たちの世話に追われる毎日を送っている。
彼女が掴んだ幸せの形は決して一般的ではないが、
それぞれ血の繋がった子どもたちが、この夫婦をしっかり結びつけている。

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