放送内容

2017年2月15日 ON AIR

仰天科学者のクローン研究

1996年7月。クローン羊のドリーが誕生。
クローンとは、いわば生命体のコピー。
科学史を塗り替えるとされた一匹の羊。世界中が驚きと称賛の声にあふれた。


それから一年半後、1人の科学者が注目を浴びる。
なんと彼は、自分のクローンを作ろうとしたのだ。
そして世界中が大騒ぎとなった。


"世間に相手にされなくなった科学者"


1970年。アメリカ、シカゴ。
ここに、新進気鋭の科学者がいた。リチャード・シード(42歳)。
この頃のシードは、人工授精により優秀な牛を大量生産する事業で成功していた。


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シードには科学者を志した時から大きな夢があった。
それは、ノーベル賞を取る事。
そしてある日、画期的なアイデアを思いつく。


早速マスコミを集めた。
彼のアイデアとは体外受精による不妊で悩む夫婦を救う事業だった。
しかし、70年代のアメリカでは宗教的価値観も強く、子どもは自然に授かる者という
考えが当たり前だった。


シードの考えはあまりにも当時の人との考えとはかけ離れていた。
そしてこの時からシードは異常な思想を持つ科学者と言われるようになった。


それから8年。
失意の日々を過ごしていた彼は、あるニュースを目にする。
イギリスで、世界初の体外授精ベビーが誕生したというニュースだった。


それは、シードが考えていた方法とほぼ同じものだった。
自分の時は世間にあれほど相手にされなかったのに。
いつか大発見をして世間も見返してやる。そう心に誓った。


"自分のクローンを作ると宣言"


それから19年。
世界初のクローン羊、ドリー誕生のニュースが流れた。
このニュースを知ったシードは焦っていた。すでに68歳。
残された時間は少ない。クローン羊を超えるようなことを発表しなければ。


そこでシードはひらめいた。世界初のクローン人間。
これは成功すれば羊以上のインパクトがある。
かつて自分を狂人扱いした世間を見返すことが出来る。


そしてシードは不妊治療を目的としたクローン人間を作る事業を立ち上げると宣言。このシードの宣言にクローン羊の生みの親、イギリスのウィルマット博士は
この技術を人間に使っても生後間もなく死んでしまうと強く警告した。


シードの狙い通り、世界中の注目を浴びたものの、多くはその行為に反対していた。
そんな中、クローンベビーを生んでくれる被験者など見つからなかった。
世界のどこかで誰かがもうクローン人間を作り始めているかもしれない。
焦ったシードは信じられない行動に出た!


なんとシードは年老いた妻に自分のクローンを産んでもらおうと考えたのだ。
そして妻は夫の強い願いを受け入れた。


シードが行ったのは、ある女性の卵子に自分の細胞核を移植。
そして妻の子宮に移植するというもの。


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その結果はと言うと、やはり年老いた妻の子宮では育たず、実験は失敗。
クローン人間は世に誕生しないで済んだ。


シードの起こしたクローン人間パニック以降、
各国はヒトのクローンを規制する法整備を進めた。


日本でも2000年にヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律が成立。
クローン人間を作ろうとしたものには懲役10年以下、または罰金1000万円以下
あるいはその両方を科すという重い刑罰が定められている。


凶器の科学者シード。
今の所、クローン人間の製造に成功した...という情報はない。

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