放送内容

2018年7月24日 ON AIR

女子短大生 死を覚悟したあの食べ物

2016年8月。岐阜県大垣市。
この年から短大に入学し、一人暮らしを始めた女性がいた。
彼女はこの日、短大の友人達と回転寿司に行った。


その翌日...強烈な腹痛が彼女を襲う。
激しい便意に襲われトイレに駆け込んだ。


そんな時...今の状況をツイッターでつぶやいた。
「昨日のお寿司があたったのかな」
恐らく食あたりだろう...と思っていた。


短大の音楽科に通っていた彼女。実はこの日は演奏会があった!
彼女の担当はクラリネット...腹式呼吸で音を出す楽器。
万が一が起きないようにお尻に意識を集中させて...なんとか演奏会を終えた。


しかし翌朝になると熱も出た。
普通なら病院へ行くが、一人暮らしだったこともあり、移動手段は自転車しかない。


しかし、下痢によって奪われていく体力...もはや動けなかった。
その後も症状は日に日に悪くなり4日目には血便が出るまでになった。
命の危険も感じ始めたその時、実家の群馬で彼女の異変を察知した人物がいた!


なんと、彼女のツイートを高校生の妹がたまたま発見!
状況を知った母はすぐに連絡をとり、すぐさま娘のもとへ向かい病院へ連れて行った。


検査をすると...かなり危険な状態だったことが判明する。
なんと、彼女から命を奪うほど恐ろしい菌が2つも見つかったのだ。


1つはO157。
O157は主に牛の腸の中に生息し、牛の皮膚にも付着している大腸菌の一種。
その特徴は...潜伏期間の長さ。食べた直後ではなく、3日~8日後に症状が現れる。


そしてもう1つはカンピロバクター。
カンピロバクターは鶏や牛の内臓から検出されることが多い菌。
これも潜伏期間が1日から7日と言われている。


つまり、お腹が痛くなる前日の夜に食べた寿司が原因ではなかった。
彼女が思い当たったのは...ホルモンだった!!


生焼けのホルモンの危険性とは


実はお腹が痛くなる2日前...彼女はお盆休みを利用し実家に帰省中だった。
その時、焼肉店で生のホルモンを購入し、自宅のベランダでバーベキューをしていた。


20180724_02_02.png


実は...市販されている生のホルモンのおよそ2割からO157を含む腸管出血性大腸菌が、
およそ4割からカンピロバクターが検出されたというデータがある。


こうした食中毒の原因菌で特に恐ろしいのがO157を含む腸管出血性大腸菌。
体内に入ったこの菌は大腸で増殖を始め大量の毒素を排出することがある。


その毒素は人の命を奪うほど強い。大腸をただれさせ血管壁を破壊する。
その為、血便や激しい腹痛の症状が出るが、恐ろしいのは血中に入ってしまうケース。


毒素が血中に入ると赤血球や血小板を破壊しながら全身を巡り、
急性脳症や急性腎不全といった合併症を引き起こし死に至ることも!


そんな腸管出血性大腸菌やカンピロバクターは熱に弱く、
肉の中心温度が75度以上で1分以上焼き続ければ殺菌される。


つまり、彼女は生焼けのホルモンを食べたため食中毒になってしまったと考えられる。
彼女の病状は幸いにも悪化することなく1週間で退院できた。


今回の出来事の原因となったホルモンはよく焼くことが常識ではあるが、
どのくらい焼けば安全なのかイマイチわからない。


そこで、専門店で購入した生のホルモンをホットプレートで加熱。
1分毎に、ホルモンを取り出し...何分で菌が死滅するのかを調査した。


まず1分。この時間では菌は全く死なず、2分でも菌が検出。
そして4分。ここでようやく死滅。と思ったら、5分焼いたホルモンからも菌が検出された!


専門家によると、ホルモンは加熱すると丸くなったり反ったりするため、焼きムラが発生しやすく、そこで菌が死滅しない場合があるという。


焼きムラを無くすにはトングを使って全体を平らにして、
熱が伝わりやすい状態にすることが有効と考えられている。


今の時期盛んなバーベキューなど、ご家庭でホルモンを調理する場合、
じっくり中まで焼いてから食べることをおススメします!

バックナンバー一覧