放送内容

2019年2月12日 ON AIR

健康診断でまさかのアレルギー

それは兵庫県でおきた。
この日、健康診断を受けていたひとりの女性。


特にどこか気になっているわけではなかったが、毎年必ず受けていた。
そして自宅に戻り、ある異変に気づく。


腕のかゆみを感じ、その部分を見てみると発疹ができていた。
すぐに自宅にあった薬を塗った女性。
これで治まるだろうと、思っていたが...しばらくすると息苦しくなった。


夫が異変に気づき、女性の顔を見ると...なんと目の周りが腫れていた!
そして意識を失い、痙攣が止まらなくなった!
すぐに近くの病院に救急搬送された。


医師たちは症状からみて、アナフィラキシーショックを起こしていると判断。
すぐにアドレナリン注射を打ち...症状は落ち着いた。


それにしても、原因は一体何だったのか?
通常、アナフィラキシーショックを起こした場合、食べ物や薬などが疑われるが、
この日は、健康診断のため前の晩から水以外口にしていない。


そうなるとやはり、健康診断に原因が?
健診では肺のレントゲン検査に加え、採血や尿検査、胃のX線検査、
いわゆる『バリウム検査』を受けていた。


これは、バリウム製剤を胃の粘膜に付着させることで、
胃潰瘍やガンによる粘膜の凹凸を確認することができるという。


倒れる前に口にしたのは、バリウム製剤のみ。
そこで、医師はバリウム製剤を疑い、薬剤部へ連絡した。


本当にバリウムが原因なのか?


薬剤部は、すぐに製薬会社に連絡を入れ、バリウム製剤に含まれる成分を
全て取り寄せたのち、スクラッチテストを行った。


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このスクラッチテストでは、皮膚に傷をつけバリウム製剤の10種類の成分のうち
どの成分に反応するかを観察した。


すると20分後...あるひとつの成分に陽性反応が。
それは...「カルボキシメチル・セルロースナトリウム」という成分だった。


この成分は、バリウム製剤に粘りやとろみをつけ、
胃の粘膜に付着しやすくするためのもの。


アイスクリームやヨーグルトに粘りをつけるためにも
使用されるなど身の回りに多く存在する。


倒れた女性は、これまでヨーグルトなどでは反応を起こしたことなどなかった。
では一体なぜ、バリウム製剤だけに反応してしまったのか?


考えられるのは、その成分は化粧品にも使われているため、
日頃からよく体に触れ、アレルギー反応が出やすくなっていた可能性がある。


そして検査のとき、胃の表面構造を見やすくするため、発泡剤を飲むのだが
これにより胃の表面のバリア構造が開き、通常より通り道が広くなり、
そこから成分が吸収された可能性も。


このように、いくつかの要因が重なりアレルギー反応が起こったと推測されたが、
非常に稀なケースだという。


とはいえ、健康診断の問診票には
バリウム製剤にアレルギーを起こす可能性について書かれている。


過去に少しでも気分が悪くなった人は注意が必要だ。

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