放送内容

2019年4月30日 ON AIR

平成の内に捕まえろ!群馬一家3人殺害事件

平成10年のはじめ、絶対に忘れてはならない殺人事件が起きていた。
群馬一家3人殺害事件。


被害女性の石井さん。
彼女は21年前...自分を付け狙う男によって、父と母、祖母3人の最愛の家族を奪われてしまった。


その男とは...指名手配犯・小暮洋史 現在49歳。
今も逃げ続けている!


家族を殺された後、犯人の小暮と対峙したという石井さん。
なぜ小暮は石井さん本人ではなく家族を襲ったのか?
そしてあの日、一体、何があったのか?


職場で出会った小暮という男


平成7年、阪神淡路大震災が起きたこの年。
高校を卒業した石井さんは、群馬県高崎市内のドラッグストアに就職し働き始めた。


接客業が大好きな石井さんは...実家では両親と祖母の4人暮らし。
石井家は念願のマイホームを手に入れたばかり、住宅ローンもあり
電気工事業を営む父は精力的に働いていた。


石井さんはやりがいのある仕事と仲の良い家族に囲まれ幸せな日々を送っていた。
それが一人の男によって滅茶滅茶にされてしまう。


週2回、石井さんが勤めるドラッグストアに荷物を搬入してくる運送会社の男。
それが小暮洋史だった。


無口だがまじめに働く人...そんな風に思っていた石井さんだったが、
小暮の印象が変わる出来事が。


それは...職場の先輩に誘われてボウリングに行った時のこと。
偶然だったのか...そこに小暮もいた。


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小暮はお店での様子とは全く違い、なぜか饒舌だった。
石井さんが車の運転が趣味と話すと、小暮も同じ趣味だという。


しかし小暮は車好きと言うわりには、いたってフツーの乗用車に乗っていた。
この男は果たして本当に車好きなのだろうか?


後日、職場に小暮がやってきた。
新しくスポーツカーを購入したという。


嬉しそうに語る小暮に違和感を覚えた石井さん。
その理由はしばらくして判明する。


執拗に誘ってくる男


小暮は石井さんに好意を持っていた。
スポーツカーを購入したことをきっかけに休日に会おうと彼女を執拗に
誘うようになっていった。


荷物を搬送してくる日は必ず誘ってくる...しつこくまとわりついてくる小暮。
しかし、平成7年のこの時点ではストーカーを取り締まる法律は日本には存在していない。


ストーカー行為を明確に「犯罪」と定めている今だったら、
この時点で様々な対応がとれたはずだった。


その後、小暮は石井さんが帰宅するその後をつけるなどして自宅の住所を特定。
さらにその住所を元に電話番号を調べ、電話をかけてくるようになった。


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石井さんも仕事の関係者ということもあり、きっぱり拒絶することも出来なかった。
そして遂に...執拗な誘いに根負けした石井さんは小暮と二人で会うことを約束してしまう。


群馬県前橋市出身の小暮は工業高校を卒業後、運送会社で働き始めた。
仕事ぶりは真面目だったが、職場ではおとなしく、友人もいない目立たない存在だった。


そんな小暮が、石井さんと顔を合わるうちに、一方的に好意を持ったと思われる。
そして約束の日...初めて二人で出かけたが、石井さんは全く楽しくなかった。


それでもまだ18歳...本音を伝えることなどが出来るはずもない。
一方で膨れあがる小暮の石井さんへの思い...それは次第に歯止めが効かなくなっていく。


その後も小暮は毎晩、電話をかけてくるようになった。
石井さんは両親に心配をかけたくなかったため、小暮のことは話さないようにしていた。


さらにこの頃、石井さんにはある事情が。
それは...大好きだった男性と交際をスタートさせた事...両親にも紹介していた。


ストーカー行為はエスカレートしていく


その一方で...小暮の誘いは止むことはなかった。
そんな誘いをことわっていると...父から驚きの言葉が。


小暮が家まで来たという。
家にまで来るなんて...怖くなった石井さんは店長に相談した。


そこで店長はある方法を石井さんに提案した。
それは...職場の仲間の協力で小暮が配送でやって来たらそのつど待避し、
顔を合わさなくても済むようにしたのだ。


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こうして小暮は彼女に言葉をかけることすらできなくなり、
やがて、あれほど頻繁にかかってきた自宅への電話もなくなった。


石井さんにようやく平穏な日常が戻ってきた。


そんな頃...交際していた彼と婚約。
まもなく20歳...石井さんの将来は希望に満ちあふれていた。


そんなある日...普段着の小暮が職場にあらわれた。
職場の店長もはっきりと小暮に彼女が怖がっていることを伝えたが...


小暮のねじれた恋愛感情はまだ終わってはいなかった。
そしてストーカー行為をエスカレートしていく。


一旦、収まっていた電話だったが...繰り返される無言電話。
それは深夜にまで及んだ。


ある日のこと、職場から帰ろうとすると車のワイパーに手紙が挟まれてあった。
小暮からの手紙...また2人で会えないかという内容だった。
その異常な行動に得体の知れない恐怖を感じた石井さんは自宅まで彼氏に送ってもらった。


さらに、彼氏の勧めですぐに連絡ができるよう携帯電話を購入。
当時、携帯電話は小型化が進みようやく一般に普及し始めた頃だった。


そして不安を抱えたまま、迎えた平成10年。
新しい年、最初に小暮が配送でやってくる日だった。


ところが...配送にやってきたのは別人だった。
小暮は会社を辞めたという。


1月4日、仕事始めのこの日に、小暮は運送会社の掲示板に一言、
「辞めます」と書いて姿を消していた。


安堵した石井さん。しばらくして成人式を迎えた。
最愛の一人娘、両親と祖母そして婚約者から祝福された。


起きてしまった最悪の事態


そして遂に1月14日がやってきてしまう。
この日は、母・千津子さんの48回目の誕生日だった。


まず母がパートに出て、続いて石井さんが出勤。
さらに父・武夫さんも電気工事の仕事に出て行った。


この日、石井さんはお昼休憩に婚約者と連絡をとり...母の誕生日会に誘った。
夕方...石井さんの家の近くには小暮が...。家には祖母のトメさんだけ。


そして小暮は家に押し入った。しばらくして...母・千津子さんが帰宅。
さらに...続いて父・武夫さんも帰宅。小暮は3人を殺害した。


まさか、自宅で恐ろしいことが起きているなんて知る由もない石井さんは、
いつもと同じように仕事を続けていた。


そして...午後9時に帰宅。
石井さんは母への誕生日プレゼントに花束を用意していた。


しかし...いつものテレビの音がしないばかりか3人の姿もない。
とりあえず2階の自分の部屋へ。


と、その時!目の前には小暮がいた!
しばらくすると小暮は急に錯乱し、家から出て行った。


小暮が出て行ってすぐに石井さんは110番に通報。
その後、両親と祖母を探した。
そして、小暮が祖母を絞殺、母と父を刺殺していたことを知る。


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小暮は石井さんの自宅を出た後、車で国道50号線を水戸方面に逃走。
翌日、群馬県警は小暮に対し、殺人容疑で逮捕状を請求。
全国に指名手配し、その行方を追った。


その後、群馬県太田市や埼玉県熊谷市周辺で小暮のものと思われる車が
目撃されたのを最後にその後の足取りはぷつりと途絶えた。


自分を付け狙う男によって、父と母、祖母、3人の最愛の家族を失い、
20歳で人生をズタズタにされてしまった石井さんは、自分さえいなければ
家族は生きていたのではないかと自らを責め、自殺すら考えた。


それでも踏みとどまったのは愛してくれた両親、そして祖母のため。


この事件の翌年に桶川ストーカー事件が起き、日本でもストーカー規制法ができた。
一方、小暮容疑者は今なお逃走を続け、有力な目撃証言もない。


事件から21年、49歳になった小暮洋史容疑者は顔や髪型も変わっている可能性もある。
しかし、小暮容疑者はある癖をもっていることが判明している。
「手の匂いを嗅ぐ」「爪を噛む」はそのままの可能性がある。


小暮洋史容疑者、身長170cmやせ形で面長、どんな些細な事でも情報を持っている方は、
高崎警察署フリーダイヤル0120-547-590まで。

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