株主のみなさまへ

2004年 11月 17日

 この度の有価証券報告書の訂正と、東京証券取引所(東証)から監理ポストに割り当てられました件では、大変ご心配をおかけし株主のみなさまには心からお詫び申し上げます。

 日本テレビは、現在、東証の担当部署の審査を受けておりますが、同時に社内にプロジェクトチームを置き、過去の経緯を含めて、徹底的に調査を行い、再発防止に向けた対策等を検討してまいりました。その内容を本日、東証のTDnetに「当社が有価証券報告書の訂正に至った経緯と今後について」と題した報告書の形で掲載いたしました。株主のみなさま方にも是非ご覧いただきたく同様の内容を以下に掲載させていただきます。

 日本テレビは、今回の事態を厳粛に受け止め、今後も東証の調査に誠実に対応していく方針です。一刻も早く監理ポストから解除されるよう努めてまいりまので、引き続きご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。





当社が有価証券報告書の訂正に至った経緯と今後について


(04.11.17)


1.個人名義株の発生経緯・目的について

 昭和45年(1970年)に読売新聞社・副社長だった小林與三次氏が日本テレビの社長に就任いたしました。しかし、小林氏は、日本テレビ株式を所有していなかったことから、箔付けのため、昭和46年(1971年)3月に読売新聞が買い増した2万8000株あまりのうち、2万株を小林氏名義としました。小林氏名義とすることを決めた人物について、関係者の聴取や資料の見直しなどを行いましたが、正確に誰が決定したかは不明です。
 その後、いわゆる「名義株」は歴代・読売新聞歴代トップである、務台光雄氏、渡邉恒雄氏へと名義書換して受け継がれました。これは読売新聞社、日本テレビ両社の親密さの象徴として慣例化し、継続していたためです。日本テレビの増資に応じて、それにほぼ比例して個人名義分の株式数は大きなものになりましたが、当社の発行済み株式総数に占める、個人名義分の比率は、77年3月に7.3%となって以降、直近の6.3%までほぼ一定しています。


2.個人名義株の株数等の状況について

 「その他の関係会社」に該当する(株)読売新聞社が実質保有する当社株の名義の内訳および(株)読売新聞社が支配する読売興業(株)、読売ゴルフ(株)につき、その所有株数の変遷を以下に記載します。
なお、(株)読売新聞社は、2002年7月以後は(株)読売新聞グループ本社
読売興業(株)は1992年6月以降は(株)よみうりに、2002年7月以後は、読売新聞西部本社に名称変更。
以下の表は、名義使用が始まった1971年3月以後についてのものです。

  読売新聞社
(読売新聞
グループ本社)
名義株数
小林與三次
名義株数
務台光雄
名義株数
渡邉恒雄
名義株数
読売興業
(よみうり)
名義株数
読売ゴルフ
名義株数
3社(6者)
合計
所有比率
1971年03月 627,569 20,000     93,500 41,332 16.30%
1971年09月 779,169 20,000     93,500 41,332 19.46%
1974年02月 885,833 20,000     93,500 41,332 21.68%
1974年11月 1,394,698 30,000     140,250 61,998 21.84%
1977年03月 814,698 30,000 580,000   140,250 61,998 19.84%
1978年03月 896,167 33,000 638,000   154,275 68,197 19.84%
1985年03月 985,783 36,300 701,800   169,702 75,016 19.00%
1988年03月 1,025,214 37,752 729,872   176,490 78,016 18.20%
1990年03月 1,076,474 39,639 766,365   185,314 81,916 17.99%
1991年09月 1,076,474 805,939 65   185,314 81,916 17.03%
2000年03月 1,076,474 9 5 805,990 185,314 81,916 16.95%
2000年06月 2,152,948 8   1,612,000 370,628 163,832 16.95%
2002年07月 2,152,948 8   1,612,000 370,628 163,832 16.95%


3.個人名義株に関するこれまでの事務取扱いについて

読売新聞グループ本社が実質保有する会社名義株式(以下「会社名義」)と、同社が実質保有する個人名義株式(以下「個人名義」)の、事務取扱いについてご説明いたします。
読売新聞社が個人名義株の所有を開始した昭和46年(1971年)3月以来、当社としてはそれらを「会社名義」「個人名義」として、明確に区分して処理してきました。
「会社名義」は法人扱いとして、「個人名義」は個人扱いとして、一貫して処理してまいりました。「株式名義書換請求書」や、印鑑登録を手続きする「株主票」もこの2つを分けて登録しています。

平成16年3月時点でのこの「会社名義」「個人名義」は下記のように株主名簿に記されています。
・「会社名義」 住所  千代田区大手町1−7−1
  氏名  株式会社読売新聞グループ本社
   代表取締役 渡邉恒雄
・「個人名義」 住所  千代田区大手町1−7−1 読売新聞社内
  氏名  渡邉恒雄

株主総会招集通知をこれらの住所宛名に別個に送付し、議決権の行使は議決権行使書などにより、行われてきました。但し、この2通の議決権行使書が当社に送られて来る際には、全て一緒に送られて来るため、(株)読売新聞グループ本社が、一括して議決権を行使していると推測しております。
配当金については当社から証券代行機関を通じて、(株)読売新聞グループ本社によって指定された口座に振り込んでまいりましたが、「会社名義」「個人名義」の分とも、「(株)読売新聞グループ本社」名義の同一の口座です。(平成16年3月時点) 


4.有価証券報告書上適切な開示をしてこなかった原因について

1.で述べましたように当初の名義使用の目的は「箔づけ」であったと思われますが、名義人の株式の実質保有者について、明確に開示してこなかったことに関しては、いくつかの原因があります。まず、当社の株式事務に関して言えば、大量保有報告書を受けとった担当部署と有価証券報告書を作成する担当部署が共に、報告・確認を怠るという内部管理体制の欠陥がありました。大量保有報告書は、読売新聞社から平成2年と平成14年の2回出されており、その写しが当社に送付されていますが、両部署では的確な処理が出来ませんでした。大量保有報告書は保有者から財務局に提出されてはいましたが、株式発行会社が、こうした情報を有価証券報告書に記載する必要があるとの認識が、不足していたことも事実であります。
第2の原因は、名義使用の実態を漠然と把握していた役員クラスの者でも、これまでの有価証券報告書の記載が法令に抵触する可能性があることを認識している者は殆どいなかったということです。つまり、いわゆる「名義株」それ自体は違法なものではないという認識に止まり、有価証券報告書には、本来は名義などを使わずに実態をそのまま記すべきであるという認識までは持っていませんでした。これが有価証券報告書の不適切な記載の訂正について提案しないで来てしまった原因です。


5.判明経緯

 昨年10月の視聴率操作問題発覚を契機に、当社では今年7月1日、法令順守体制を確立・推進させるための社内外憲章であるコンプライアンス憲章が発効しました。本憲章の発効をうけて、社内におけるコンプライアンスの徹底を図り、コーポレート・ガバナンスの確立に向けた点検作業が本格的にスタートいたしました。
 全社的な点検作業を続けていた中で、8月下旬、渡邉恒雄氏の個人資産について取材していたフリーライターから、渡邉恒雄氏名義の当社株式に関して、総合広報部に取材がありました。当社は「株主自身の情報について弊社はお答えする立場にありません」と回答し、具体的な対応は読売新聞グループ本社広報部が行うと聞きました。これを機に法務部、総合広報部、総務部の担当者各人が「この件は、読売とも連絡を取って、適切な対応、開示、訂正などを行わなければ問題になる可能性がある」という認識をもち、実態調査作業に着手しました。具体的には、読売新聞グループ本社と連携をとりながら、証券取引法を始めとする関係法令の理解、過去の有価証券報告書、株主名簿の確認、株主異動の調査などを進めました。しかし、前述の通り、本件は読売新聞社副社長であった小林氏が、昭和45年に当社社長に就任したことが発端であり、当時の事情を知る多くの者が故人となっていたり、記憶が曖昧だったりしたことなどから事実関係の調査には時間を要しました。そして、おおまかな事実関係が判明し始めた10月25日に、当社及び読売新聞グループ本社と弁護士間で会議を行ったところ、弁護士から、ただちに証券取引法の虚偽記載罪には該当するとまではいえないが、早急に有価証券報告書の訂正を提出したほうがよいとの助言を得たため、遅くとも11月5日(金)までには調査・確認作業を終えた上で、有価証券報告書の訂正報告書を提出する方針を決定しました。これは、当社の調査・確認・訂正に要する時間と市場に無用な混乱を与えないようにすることを考慮した結果、東京証券取引所の売買立会が終了する金曜日の午後3時以降午後5時までに提出するのが適切であろうと判断し、遅くとも11月5日までとしたものです。弁護士を交えた会議終了後、当社専務をトップとする調査対策プロジェクトチームを事実上発足させました。
 10月27日には臨時役員会を開き、有価証券報告書などを早急に訂正し、関東財務局及び東京証券取引所に提出・開示する方針が機関決定されました。
 11月4日、関東財務局に、訂正報告書を喫緊に提出すること、および訂正の記載方法について当社担当者が説明いたしました。訂正の記載方法については、大株主の状況欄の「注記」とし、関係会社として読売新聞グループ本社を追加する方針を伝えました。大株主の状況欄を丸ごと取り替えると、訂正の前と後で大株主の状況欄から突然、第二位の渡邉恒雄氏の名前が消えることになり、その理由が判然としていないと、投資家の皆様らが渡邉氏が読売新聞グループ本社に約161万株を売却したのではないか、などとの誤解やあらぬ混乱を招く虞を考慮したからです。このため、@「大株主の状況」欄には、渡邉氏の株式は読売新聞グループ本社の実質保有であることを、A「関係会社」の欄には、読売新聞同本社、渡邉氏、読売新聞西部本社、読売ゴルフの持株比率を合算した%を注記で掲載する訂正方法といたしました。弁護士からの意見も聞いた上での判断でした。
 11月5日、注記で訂正した有価証券報告書の訂正報告書を関東財務局、東証に提出し、それぞれEDIネット、TDネットに掲載されました。この5日に、関東財務局から再度の訂正を検討するようにご助言をいただきましたので、11月12日に再び訂正報告書を提出した次第であります。


6.関係会社の状況において「その他の関係会社」として記載しなかった点について

当社では、従前より渡邉名義の株が読売新聞社の実質保有であると漠然とながらも認識していた以上、上記のように両者を合算して判断すべきでありましたし、そうであるならば当然、読売新聞社の子会社分を含めての検討を行い、その他の関係会社として記載すべきでした。ところが、深く検討に入ることなく、単純に表面上の株数から「その他の関係会社」との扱いを怠ったもので、このような重要な投資情報を隠す意図は無かったとしても、結果的に長期に不正確な開示をしてきたことは、大きな反省点であります。


7.その他の問題
 @訂正報告書を再度提出することになった理由
 当初は当社の大株主で第2位の渡邉恒雄氏の名前を残した方が、投資家の方々により分かりやすいのではないかと当社なりに判断しました。弁護士からも注記による記載は法令違反には当たらないという助言もありましたので、注記を付す訂正を行いましたが、今般、関東財務局からの指導もあり、内閣府令を更に精査しましたところ、大株主1位・2位を合算する表示が適切であると確認致しましたので、再訂正を行った次第です。
 A放送法上の問題に関して
 今回の有価証券報告書の訂正におけるいわゆる「名義株」の問題は、放送法上の問題とは何ら関係はないと、当社は理解しております。


8.今後へ向けて
 今回、不適切な情報開示によりまして、有価証券報告書の訂正に至りましたことは、株主様、投資家の皆様に大変なご迷惑をおかけし、深くお詫び申し上げます。今後は、再びこのような事が起きないよう、社内事務・管理体制の見直し、業務改善等を行い、株主様、投資家の皆様には迅速、正確かつ厳格な情報開示を行っていく所存であります。
 とりわけ当社は本年7月よりコンプライアンス体制を構築し、あらゆる分野での公正な活動を目指していく決心を致しました。適切な情報開示に基づいた健全な競争によって、企業価値を高めて行くべく、今後も努力を重ねてまいります。

以上

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