決算説明会

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2002年度第1四半期 スモールミーティング

萩原 取締役COO・社長

第1四半期が終了したところで、今後の見通しと戦略についてご説明申し上げる。

7月1日付で組織改正と人事異動を行った。会社の社内外へのメッセージとして最も判り易いのが人事だと考えている。今年度の目標、中長期の戦略という意味でも7月の組織改正と人事についてご説明することが日本テレビとして今年、さらに今後にどのように取り組んでいるかをご説明出来るかと思う。

7月1日付の組織、人事は、簡単に申し上げると現状のサバイバル競争に即応した人事だ。1つには意思決定のスピードアップ、もう1つには経営の戦略を末端にまで徹底させるということ。新たに経営戦略局を設けて、経営トップとの直接の連携を取って進めていく部門とした。この中にはIR、それにグループの強化で関連企業を統括するグループ戦略部、そして今後の国際化を進めて行くに当って国際戦略部を含めることにした。その他では、これは従来から言ってきたことだが、放送外収入強化のための色々な取り組みをますます強化するため、特にコンテンツ事業局と事業局を部単位でいじって人材も投入して強化した。また、もちろん放送収入の強化も大きな目標である訳で、営業局の営業センターを廃止して局長と部長による直接の意思決定のスピードアップを図った。また、人材の営業局への投入も行った。

また、氏家CEO、それにCOOの私が新たに現場の局を担当することも決定した。氏家会長は経営戦略局、私は以前からの編成局の他、報道局と審査室の担当を兼務することとなった。意思決定のスピードアップと経営戦略の徹底、そのために現場から離れてしまってはいけない。管理職クラスの大幅な変更も行い、主としてそこのキャリアがない人をあえて起用して可能性の拡大を目指している。同じ所に長く居ると「よどみ」に気付かなくなったりすることがある。あまり知らない人が担当することで、根底から見直そうといことにもなる。

また、局長、執行役員についてもかなりの意味でその様な起用を行った。今回、かなりの抜擢人事による若返りも図った。これは近い将来に向けての取締役、執行役員の発掘という意味もある。8年連続で四冠王を取り続けると、それによる社内の勝ち慣れというか、心のゆるみが生じないとも限らない。人心一新でそういうものを一新する狙いがある。また、局間の競争だが、もう1つ2位以下の局が我々の足元を脅かしていないという現状の中で、一番大きな敵は身内にありという認識の下、他局との競争が激しくならないのであれば社内に競争原理を持ち込むことを狙った。

今回の人事で特筆すべきは、専門職のポジショニングの強化が挙げられる。私どもの最大の商品である番組を作るクリエーターには、特殊な才能が要求される。ある年齢になってから管理職として済まされるのではなく、制作のディレクターのポジションをステップアップさせることを行った。制作の専門職のトップはEDだが、EDになった人でも評価次第では局長レベルを凌ぐ評価を得るシステムを導入した。ライン職につけるステップアップではなく、スペシャリストとしての処遇として考えた訳だ。もう1つは、関連企業との一体化がある。関連会社の社長人事と本社の局長人事を一体化させた。本社の局長から関連企業の社長に、また関連企業の社長から本社の局長にという交流を一体化して考えていくことが会社の経営にとっても重要となる。

視聴率に関しては、お蔭様で4~6月の3ヵ月、当然の如くではあるが三冠王となった。1月からの約半年についても四冠王、4月からの年度視聴率も三冠王となっている。上半期も三冠王ということで、区切りの中では全て三冠王を取った。月間平均も47ヵ月連続で四冠王を更新している。正直、6月はワールドカップの影響で、我々は日本戦を取れなかったので分が悪く46ヵ月で止まることも覚悟していたが、日本戦以外でも30%を超える数字が取れて4本とも高視聴率だった。フジテレビが日本-ロシア戦で66%を取ったが、にもかかわらず6月も四冠王を取ることが出来、現在も47ヵ月連続という民放新記録を更新している。

巨人戦は、先週いっぱいまでの最新の数字では、日本テレビが39試合を放送しての平均が17.1%となっていて、昨年の同時期は15.9%なので1.2%アップとなっている。昨年1年間は15.8%だったので、現在進行中ではあるが17.1%は昨年比を上回っている。これは実は相当評価していいのではないか。ワールドカップ中に何試合かあったが、11とか12%とか、そういう数字だった。これを入れての17.1なので、昨年比からは明らかにアップしている。ワールドカップ明けの7月も15.6%、日本テレビだと15.3%となっている。やはり巨人戦は強かったというのが実感。まだかなり残っているが、ある程度期待してもいいと思う。

いわゆる朝帯の改革重視ということで、「ズームイン!!朝!」を「ズームイン!!スーパー!」に、「ルックルック」を「レッツ」に変えたが伸びずに「情報ツウ」に切り替えて順調に推移している。「レッツ」は3位だったが、今は2位に完全に定着し、時々1位にもなっている。「ズームイン」は、15%を超えることもあり、この時間帯としてはかなり高い数字と評価していい。

ドラマは全局を通じて振るわない状況で我々も当ったり当らなかったり。中途採用という形でのヘッドハンティング、スカウトによる優秀なクリエーターを獲得することで人材を強化した成果が出てきた。フジテレビのディレクターだった岩本が担当した「ナースマン」は高視聴率を取り、今は「明日があるさ」映画版の監督をしている。また、先日の「ごくせん」も大ヒットしたが、このドラマのプロデューサーの加藤はフジテレビ系列の共同テレビからスカウトした。これからもこういう形での人材発掘を積極的に進めたい。

バラエティに関しては、8年連続四冠王の大きな要素だが、5年周期くらいで古くなってくる。常に新しい柱となる番組がプライムタイムでは必要。そのため、日曜日9時に「行列の出来る法律相談所」という番組を作り、先週は20%を記録した。これからの日本テレビの、プライムタイムの柱になるだろう。水曜日の「仰天ニュース」も20%に迫る勢いだ。「伊東家の食卓」のような現在の柱に変わるべきものとして育てていかないといけないが、実を結びつつある。

10月の改編について一言。営業的には景気の動向を強く受けてスポットの低下、前年比マイナスの状況となっている。こういった点を放置出来ない。四冠王を取り続けているからスポットも取らないといけない。月~木の23時台にバラエティ枠を新たに設ける。現在は「きょうの出来事」を放送しているが、これを23時半にして23時から若者向けのバラエティを作る。現在フジテレビがそういう編成をしており、それに合わせる形となる。若者向けのスポットの対策で、こういったスポットの市況は無視出来ない。思い切ってこうした編成にした。木曜日の新番組の不調で、木曜日20時には古館伊知郎さん、爆笑問題のクイズ番組を放送する。実績もある人達だし、セールス的にも前向きに取り組める。かなりの引き合いがきている。

この他、テレ朝の「サンデー・プロジェクト」やTBSの「報道特集」のような番組が欠如しているのは否めない。日曜日の18時~19時に思い切った報道番組をスタートする。これは報道機関として取り組むべき問題を準ゴールデンの枠で放送する形となり、福澤アナウンサー、菊川怜が司会を務める。イメージ的にF1層はフジテレビが一番と言っているが、計算すると実は少し違う。ただそうしたイメージは事実なので、改善することはスポット市況が悪い中で戦っていくために必要となる。周辺事業やイベントでの取り組みを行い、日本テレビに目を向けさせたい。今秋には吉本興業と手を組んで「Love&Peace 笑いは日本を救う」というキャンペーンを行う。言わばイメージキャンペーンだが、積極的に取り組んでいく。

放送外事業ということでは、映画にも積極的に取り組んでいる。既に公開された「模倣犯」は好調だったし、土曜日から公開が始まった「猫の恩返し」は「千と千尋の神隠し」ほどにはならないが興行収入は50億を超えると見られている。かなりのヒットとして期待している。また「明日があるさ」映画版も近く公開される。事業局では、7月に終わった「シャガール展」が大成功だった。文化事業ではあるが、充分に見込みがある事業については積極的に取り組みたい。また、グッズの開発や販売の強化にも力を入れたい。

CS日本、110度CSだが、もちろんそう簡単には普及しない。受像機の普及ともリンクしており、巨人戦完全中継を中心としたG+を核としながらそれなりの普及を期待している。スカパー、EPも参入を果たしたが、当面は喧嘩をして足を引っ張り合うのではなく、連携して110度をPRしていくキャンペーンを、ということでスカパーにも働きかけている。視聴者的にはBSもCSも関係なく110度、というキャンペーンを行い、まず普及させてから健全な競争に入りたい。

地上波デジタルをめぐる動きが活発になっている。アナアナ変換のための公的資金投入、期限の問題についての発表があったばかりだ。我々としてはあくまで2003年末までに開始するための環境の整備、放送機材の整備、ソフト力の強化、ということで順調に整備中だ。社内の本格的なプロジェクトもスタートした。諸問題をクリアにして基幹放送として取り組んでいく。

汐留の新社屋については、思い切ったオフィス・イノベーションを行い、イベントもプロジェクトで構想を温めている。

営業的には、ネットセールスは前年の97.6%は獲得し、高視聴率を背景にカロリーの維持にと努めている。こういうご時世なので、ダンピングに走りがちだが、今そういうセールスをすることは今後に禍根を残す。必死に歯を食いしばって営業をしている。スポットは前年を目標とするのではなく、2位局とのGRP差を広げることを目標にしている。その意味でも何が何でも視聴率を取りにいく。GRP差を広げる。若者向けのキャンペーンも含めてスポットセールスを強化する。そのために編成構造の改革を10月改編で行い、個別商品のクオリティーを維持しつつ、制作費も有効活用していく。

細川 取締役 執行役員常務経理局長

第1四半期ということで数字的には日本テレビ単体としての数字をご報告する。まずスポットの状況だが、4月から6月にかけて前年比ではちょっと寂しい数字となっている。こうした市況ではやむを得ない。7月は前年比で90%ほど、8月は東京エリアで想像以上に良くないが85%前後、9月は7月のベースに戻ると予測している。何度も言うように3ヵ月以降を読むのは不可能だが、5月のIR説明会の時点での予測からすると予測の範囲内ということになるかと思う。特別の上乗せもないが、下回ってもいない。

下半期は、昨年の状況から判断するとプラスにはなってもマイナスにはならない。マイナス要因が下半期には特にない。

スポットの出稿の中身、ジャンル別のシェアとランキングについての資料をご覧いただきたい。前年比だとおしなべてマイナスになっている。1つだけお話したいのは、第1四半期で7位の家電関係が増えている。各メーカーがワールドカップをあてにした受像機やオーディオ製品の関係で久々に出稿を増やしたようだ。全体的に下がっている中、これは特徴的だ。

もう1つはタイムについて。ご承知のように総売上の90%以上がタイムとスポットによるもので、そのうちの55%がタイムとなっており大きなシェアを占めている。4~6月については、昨年度と大きく変わっていない。399億円前後で、昨年が407億から408億なので極めて近い数字となっている。5月の説明会の時には、「かなり落ちる」と申し上げたが、第1四半期を見る限り実数は変わっていない。1つ問題としては、第1四半期は単発による売上げ、これはワールドカップだが、これが30億くらい多かった。レギュラー番組だとかなり落ちていたことになる。24億4千万がワールドカップのトータルの売上げ。予想をかなり上回った。上半期に関しては、ワールドカップ分予測より少し伸びていたが、下期に関しては予想の範囲内と見ている。5月の時点から大幅に変わることはないだろう。下半期はお蔭様で日本シリーズもありそうなので、予想より多少増えるかもしれない。

新社屋と減価償却について。改めて数字をまとめてご報告する。全体で汐留にはいくらかかるのか、よく聞かれるがまとめてお答えしたい。今から7年前に土地、これはJRの土地だったが、1010億で購入した。当時借入れもしたが、完済している。土地の上の建物に540億強、放送設備に400億弱となっている。その他の設備に150億強。これには、例えば電波障害に関する調査や対策、またひどい交通渋滞が予想されるので道路の整備も必要で、各社それなりの負担もする。そういったことを取り混ぜて150億となった。したがって土地を除いて1100億という数字になる。稼動するに当っての減価償却が大きくなるのは当然で、14年度の予算には入っておらず、来年度以降となる。

設備投資に関しては、本年度が430億程度で来年度が420億強。設備投資も含めた減価償却は、15年度で174億、16年度がピークで220億、17年度は177億、18年度が152億、19年度が133億となる。デジタル関連の投資についてよく質問されるが、デジタルと汐留が重複している部分も多いので整理したい。機材については新社屋関連に400億。汐留だけでなく、東京タワーの送信費、それに中継車やハイビジョン対応も必要となり、麹町のメインスタジオはこれからも使い続けるので、ハイビジョン対応のコストがかかってくる。そうした費用は新社屋を除けば、本年度は35億、来年度は53憶、16年度が25億、17年度が23億、18年度が34億となる。合わせて170億から180億とみている。デジタル化の総計は、汐留を含めると520億の半ばくらいになるだろう。現時点で判らないのが、600mといわれる新タワーの問題。これは現場には見えてこないので、この部分の数字は入っておらず、設備投資には含んでいない。

松本 執行役員 経営戦略局長

日本テレビグループといたしましては、グループ各社の性格位置付けを明確にして、デジタル時代を勝ち抜くグループ体制の基盤を作りたいと、このように思っております。とくに、グループ各社の役割をはっきりさせまして、それぞれの分野で、各社が積極的な事業展開ができるよう、グループ全体でサポートしていきたいと思っております。

また、時代の変化に対応した会社経営が行われますよう、人事、雇用、経理システムを見直すとともに、グループ間の意識の一体化を促進するため、相互の情報開示を進めて参ります。

こうした中、また引き続き厳しい経済環境が続く中で、日本テレビグループ企業の第一四半期の業績は、各社ともおおむね順調に推移しております。

まず、番組制作の分野では、制作系4社は前期に引き続きまして、外部展開による業務拡大。コスト削減による、業績維持が期待されております。特にNTV映像センター、日本テレビビデオの2社につきましては、日本テレビの技術オペレーションの移管によりまして、業務の拡大が見込まれております。放送以外の事業の分野では、日本テレビ音楽の、携帯電話の着メロ人気による音楽著作権収入のほか、VAPのDVD、CD販売が好調に推移しております。

その他の事業分野でございますが、日本テレビサービス、日本テレビワーク24が日本テレビの汐留移転に伴う、ビル管理業務の、先行投資を行っております。またフォアキャストコミュニケーションズは、携帯電話の有料サービス「My日テレ」の会員が増加していることも、ございまして、業績も順調に推移しております。