ICTビジネス局

テレビと
インターネットは
対立するメディアじゃない

クリエイター

原 浩生Hiroo Hara

2000年入社
理工学研究科 電気電子工学専攻 卒

Webやスマホなど、テレビと他メディアのコラボに取り組み続ける第一人者。番組・Webメディア『SENSORS』やアプリ『フリフリTV』などもプロデュース。

ALL PEOPLE

新しい分野への挑戦

ずっとテレビが好きで、エンターテインメント番組を作りたいと思っていました。そんな私が配属されたのは、これまでのテレビ局には存在しなかった部署。地デジ放送の開始に伴い、データ放送コンテンツを作る担当に任命されたのです。映像と音声で情報を伝えていたこれまでの放送とは違い、当時データ放送はまったく新しい試みでした。何をどのように伝えていけばよいのか、すべてが手探りの状態で…。先輩もいないわけですから最初は不安でしたが、私たちデジタルネイティブ世代が中心となって、まったく新しい分野のコンテンツを作ることができるのです。若手でもどんどんと意見が言えて、それが実現していく。そこにやりがいを見出しました。

137万人が参加した音ゲー

私の仕事は、スマホなどの新しいメディアとテレビを連動させて、これまでにない価値や楽しみを生み出すことです。その例として挙げられるのが、2013年の夏から放送開始した日本テレビ最大の音楽特番『THE MUSIC DAY 音楽のちから』です。そこで、嵐の歌う楽曲にあわせて、テレビの前の視聴者が一緒に「音ゲー」を楽しめるという企画をデジタルクリエイター集団『チームラボ』と行いました。137万人もの視聴者が参加してくださって企画は大成功でした。これほど大規模にテレビとスマホを連動させた企画は、おそらく世界でも例がないと思います。また、2014年も同番組で「音ゲー」を「走りゲー」へ進化させ、こちらも成功を収めることができました。

視聴率以外の価値がある

「テレビはスマホに負けてしまうのか」といった切り口の記事を見かけることも多々ありますが、私はテレビとスマホが対立するメディアだとは思っていません。『金曜ロードSHOW!』で『天空の城ラピュタ』を観ながら、14万人以上の人がツイッターで一斉に「バルス!」とつぶやく。そんな視聴スタイルは、テレビとスマホが連動した代表的な例です。いま一番盛り上がっているテレビ番組が分かる『wiz tv』というアプリを私が開発したのは、このようなソーシャルメディアでの盛り上がりを、視聴率とは異なる価値として可視化できないだろうかと考えたからです。

新しい楽しみ方を探して

私たちの部署で制作している番組『SENSORS』(毎週土曜日深夜・関東ローカル放送)は、地上波の放送を待たずしてウェブで先行配信しています。テレビ局としては異例の形式です。しかも編集されたテレビ版に対し、ウェブ版は収録した映像をノーカットで見ることができます。テクノロジーを使ったさまざまなメディアや情報を発信していく番組なので、ウェブなどで活躍する新しい世代のクリエイターに出演していただきました。彼らから刺激をもらう一方、彼らもテレビという影響力のあるメディアをおもしろがっているようです。お互いに楽しみながら、テレビの新しい楽しみ方を探していこうと考えています。

MESSAGE

いいアイデアには、いいインプットが必要

いいアイデアを生み出し続けるためには、いいインプットが欠かせません。いいインプットをしていないと、いいアウトプットはできないからです。映画、演劇、展示会などに足を運んだり、さまざまな人と交流したり、つねに新しい刺激を求め続けてください。社会に出ると、どうしても自由に使える時間が減ってしまいます。長期の旅行に出かけたり、新しいアルバイトを体験したり、学生のうちにしかできないことをやっておきましょう。

わたしの
「見たい、が世界を変えていく。」

新たな技術、デバイス、テクノロジーの誕生によって、エンターテインメントの新しい楽しみ方がどんどん生まれてきています。「体験そのものが楽しい」というような、これまでなかったエンターテインメントを私自身も見てみたいし、クリエイターとして視聴者のみなさんにも提供していきたいと思います。