コンテンツ制作局
どうすれば視聴者に
楽しんでもらえるのか?
情報番組総合演出
池谷 賢志Takashi Ikegaya
2001年入社
文学部 中国文学科 卒
『シューイチ』の総合演出を担当している。これまでにディレクターや演出として携わった主な番組に『ズームイン!!SUPER』『DON!』『ZIP!』などがある。
家族で楽しんでもらえる番組を
情報番組『シューイチ』の総合演出として、番組全体を取り仕切っています。日曜の朝に放送されているため、できるだけ爽やかな情報を届けるように心掛けています。食卓を囲んでテレビを見ている家族が、果たして楽しんでくれるだろうか? 子どもに「これってどういうこと?」と聞かれた親が、子どもの知的好奇心を育むような返答をできるだろうか? そんなことを考えながら番組を作っています。放送前に編集を済ませたVTRも多いとはいえ、2時間近い生放送では何が起こるか分かりません。今起きていることを今伝えるのが、生放送の醍醐味です。そんな突発的な事態にも対応できるように、日々の仕事に取り組んでいます。
ディレクターの仕事はモノづくり
新人の頃は、とにかく忙しかったという記憶しかありません。当時は機材のIT化が進んでおらず、また私自身も仕事に不慣れだったため、何をするにも時間が掛かりました。それでもロケや放送の予定を遅らせるわけにはいきません。ADという立場でひたすら目の前の仕事に忙殺され、仕事が面白いのかどうか、そんなことを考える余裕すらありませんでした。仕事が楽しくなってきたのは、ディレクターへと昇格し、自分の視点でVTRを編集できるようになってきた3年目。「情報」という素材を取材やロケで集め、会社へ持ち帰って様々な方法で調理し、味を整えながら最後は皿に盛って視聴者の皆さんに提供する。まるでレストランのシェフのように、VTRというモノづくりに夢中になりました。
忘れられない先輩の言葉
『ズームイン!!SUPER』の新米ディレクターだった頃。ある新しい技術をテーマにした3分半ほどのVTRを先輩にチェックしてもらいました。それは、取材先である研究機関の外観から始まるVTRでした。それを見た先輩は20秒ほどでVTRを止めて、私に言いました。「若いのに、こんなつまらないファーストカットで良いと思ってるんじゃない!」。頭を殴られたような思いでした。たしかに忙しい朝の時間帯では、そんな誰が撮っても同じような画を見てくれる人はいません。では、どんな画を撮れば視聴者を引き付けることができるのか? スタッフのVTRをチェックする立場となった今でも、あの時の先輩の言葉を思い出しながらずっと考え続けています。
先輩ディレクターとなって気付いたこと
入社5年を過ぎた頃から、後輩ディレクターのVTRをチェックするようになりました。自分が言われてきたことを後輩に伝えてはみるものの、自らの言葉に絶対の自信はありません。「ここをこう直して」と指示を出し、修正してもらったものが、最終的に判断する総合演出(番組の演出についての最終決定者)の意向と合わないことも…。今にして思えば、「自分だったらこうするのに」という視点でしか助言できていなかったように思います。大切なのは、ディレクターが撮ってきたVTRを尊重し、それを一番良い形で花開かせることだったのです。そうすることで、ディレクターそれぞれの個性を生かすことができる。そのことに気がつくまで、随分と時間が掛かりましたね。