グローバルビジネス局
まだ、この世に
存在しないものを
作っている喜び
映画プロデューサー
北島 直明Naoaki Kitajima
2004年入社
経済学部 卒
営業局を経て、入社8年目より現職。映画プロデューサーとして『キングダム』『ちはやふる』シリーズ『22年目の告白 —私が殺人犯です—』『ルパン三世 THE FIRST』『藁の楯』『50回目のファーストキス』『斉木楠雄のΨ難』『オオカミ少女と黒王子』など、数々の作品を手掛ける。
映画プロデューサーという仕事
「映画の撮影現場で、肩にセーターをかけてサングラスをしている人。」映画プロデューサーと聞いてそんな姿を思い浮かべる人もいらっしゃるかもしれませんが、それはテレビが作りだした虚像です(笑)。1本の映画が完成し公開されるまでには、少なくとも2年の月日がかかります。映画プロデューサーとは、その間のすべての工程に関わり続ける唯一の人間です。ふんぞり返っている暇はありません。企画、脚本制作、スタッフの選定、予算組み、撮影、編集、宣伝、そしてBD/DVD販売などの二次利用管理まで、仕事は多岐にわたります。ときには撮影現場で、急遽必要となったエキストラとして出演することも。映画を成功させるために、あらゆる仕事をこなします。
求められるのは経営者的感覚
プロデューサーと映画監督、それぞれの仕事の違いは、レストランのオーナーとシェフに例えるとわかりやすいでしょう。出店する場所、価格帯、内装、宣伝、スタッフ集めと、オーナー(プロデューサー)は店作りのすべてに関わります。シェフ(監督)と料理の内容を相談し、予算を管理しながら食材の調達まで責任を持ちます。オーナーだからといって、自分の好きなようにやっていては店はすぐに潰れるでしょう。どんな料理を出せば、お客さんが喜びお金を払ってくれるのか? そうした経営者的な感覚が必要な仕事だと言えるでしょう。「この映画に、莫大な予算と人手を注ぎ込む価値はあるのか?」。企画を見極めるときは、常にそのことを意識しています。
企画を生む苦しさ
自分がおもしろいと思うことが、100万人のお客さんも一緒におもしろがってくれるとは限りません。映画を楽しむお客さんは、日本全国にいます。中には映画館のある街まで、1時間、2時間とかかる人もいるでしょう。電車代と映画代を払って、わざわざ劇場に足を運んでくれるそんな人たちに、「この映画を観て損した」とは絶対に思わせたくない。現在、7~8本の企画を同時にプロデュースしていますが、そのすべてが上映されるかどうかはわかりません。多くの人におもしろいと思ってもらえる企画を生み出すことは、本当に苦しい作業です。けれど辛くはない。「まだこの世に存在していないものを作っているんだ」という感覚が、仕事の原動力となっています。特に最近は、原作を映画化するのではなく、“オリジナル脚本”を中心に取り組んでいるので、よりその感覚が強くなっています。
テレビ局ならではの映画作り
映画『22年目の告白 —私が殺人犯です—』では、「報道」を取り扱っています。日テレ報道局に撮影協力してもらうことで、リアルな映像を多額の予算をかけずスムーズに生み出すことができました。また、映画『AI崩壊』は、“AI(人工知能)”をテーマとした作品なのですが、監修して頂いた東京大学の松尾教授は、日テレのインターネット事業部の社員に紹介してもらいました。これらは、テレビ局が映画制作を行うメリットのほんの一例です。他にも、映画の宣伝として情報・制作局の番組で取り上げてもらったり、営業局とタイアップ商品を開発したりと、挙げていけばキリがありません。映画の制作過程で困ったことがあれば、社内にいるさまざまなスペシャリストが必ず相談に乗ってくれます。これが、テレビ局という組織で映画を製作する最大のメリットだと思います。