そんなことが起こっているとはつゆ知らず、静は担任教師になって初めて“穏やかな日曜日”を迎えようとしていた。先日の退学騒動以来、
午前中、静はジムで気持ちのいい汗を流すものの、珍しく
さらに、補習授業のため学校に来ていた
一方。補習授業を受けるはずの静の生徒・
午後1時15分。男子トイレに立てこもったまま、一向に出て来る気配のない山崎。静と聖羅が外から声をかけるものの、返事すらない。このままではラチが明かない…かといって男子トイレに勝手に入るわけにもいかず…。静は職員室にいるはずの新庄に応援を求めに行く。…が、なぜか新庄はランニングシャツ姿で「忙しい」と言って力になってくれない…。困った静は、校庭で野球部の練習を眺める塁を発見。塁は補習授業を受けるために登校してきたはずだが…。「補習はどうしたの?」と授業を受けるよう促す静に、塁は「やる気がしない」。すると、同じく補習授業に来ていた
午後1時45分。静が戻って来ないことにしびれを切らした聖羅は、自分で教頭を呼びに行こうとしてトイレを離れる。ふと窓の外を見ると、校庭で海斗と塁がモメている様子。海斗が塁の胸倉をつかみ、「もう一回言ってみろよ!」と声を荒らげ、静が止めに入っていて…。校庭に下りた聖羅は、海斗と塁に男子トイレの中を見てほしいと頼む。
トイレを確認した海斗と塁が、外で待っていた聖羅と静に状況を報告。「トイレの中に人がいました。でも事情があって出られないって言ってます」。するとちょうどそこに現れた大口が突然トイレに向かって怒号を上げ、「卑怯者!そうやって逃げてばっかりで恥ずかしくないの?出て来てちゃんと話し合いましょうよ!」。大口の気迫に聖羅は「私のためにそこまで…」と感動するが、トイレから出てきたのは、なんと新庄で…。
――実はその約4時間前の午前10時。大口と新庄は職員室で顔を合わせていた。補習授業の指導にやって来た大口と、学校説明会の準備に来た新庄。2人の間に気まずい空気が流れる。「本当に私と別れる気ですか?」と聞く大口に、「別れるも何も…」と、初めからそのつもりなどなかったように言う新庄。大口は「私は教頭のこと…好きでした。私のことどう思っていたんですか?それだけは答えて!」と迫る。その時、聖羅がテストの採点をしに職員室に入って来る。新庄はその隙に職員室を抜け出し、大口も新庄を追うように教室を出ていく。一人残った聖羅は、カバンの中から取り出した財布を机の上に置き…。
そのままトイレに逃げ込んだ新庄は、ため息交じりに洗面台で手を洗っていると、蛇口がいきなり破損!水が噴き出し、「うわあ!」。新庄は全身ビショビショに…。
間もなく、新庄が呼んだ水道修理業者が学校に到着。…が、やって来たのはアルバイトの山崎で…。山崎は水漏れの場所を確認するため職員室へ。ちょうどその頃、聖羅はおなかが空いたため静に連絡してランチへ出かけていた。誰もいない教室で、山崎は聖羅の机の上の財布を発見。中を見ると10万円が入っていた…。とその時、新庄が職員室にやって来て、山崎はとっさに財布をポケットに入れてしまう…。
水道修理を終えた山崎は、財布がないことに気付いて戻って来た聖羅と鉢合わせ!慌ててトイレに逃げ込む…。一方、ランニングシャツ1枚になった新庄も、大口に追いかけ回されていて…。
午後1時30分。校庭で野球部の練習を眺める塁に、静が声をかける。塁は野球部の特待生で入学したが、1年生の時に交通事故で右腕をケガし、野球を断念していた。野球を失った塁は「何もかも楽しくないし…だからやる気もないし」。そんな塁に、海斗が「野球はもうできないんだから忘れるしかない」と前向きな言葉をかけるが、「おまえに関係ねえ」と塁。これに怒った海斗が「関係ねえってなんだよ?もう一回言ってみろよ!」と塁につかみかかり、静が慌てて止めに入る…。その様子を校舎の窓から聖羅が目撃。聖羅が校庭に下りたのと入れ替わりに、大口から逃げる新庄が男子トイレに入っていき…。大口がトイレに向かって言ったのは、新庄に向けた言葉なのだった――。
トイレから出て来た新庄の後に続き、山崎もトイレから出て来る。山崎は聖羅に「俺、おまえに言わなきゃいけないことがあるんだ」と、職員室で盗んだ聖羅の財布を出し、「これ落ちてた」とウソをつく。聖羅が中を確認すると10万円が丸々なくなっていて…。「現金入ってなかった?」と聖羅に聞かれ、とぼける山崎。そこに静のジムのトレーナー・早川(庄司智春)がやって来て、山崎に「10万円返せ!」と迫る。実は早川の本業は劇団員で、山崎は劇団の後輩。お金がない山崎は早川をはじめとする劇団員からお金を借りまくっていて、合計の借金額は10万円。早川はそれを返せという。すると山崎とヨリを戻したい聖羅が自分の10万円を差し出そうとして…。一連のやりとりを黙って見ていた静のイライラがついに爆発!「いい加減にしてもらえませんか!?」。日曜日が台無しになって我慢ならない静は、考えをまとめる時間もないまま、言いたいことをぶちまける!「人は生きていけば…心に多くの荷物を抱え込むことになります…。荷物っていうのはどんなに大切なものでも、増えるほどその重さにつぶされるの。前に進めず、それに固執して…負の感情に支配されることもある…。だから…過去の栄光を過去の恋を…やってしまった後悔を…全部取っておかないで忘れてください!何かを忘れるって大変だけど…その努力があなたを幸せにするから!聖羅先生、大口先生、そして西畑くん、もう忘れなさい!」――。静の言葉が、それぞれの胸に刺さり――。
一方その頃、京子と対峙する愛花は「私は麗美静を許さない…私は花恋を失った悲しみと憎しみを絶対に忘れない!」と和解に応じない構えを見せる。がっかりして愛花のマンションから出て来る京子を、浦見が待っていた。「僕は愛花の心を救うためならなんでもします」――。