チャップリン 『晩年を過ごした家』 2001/8/8放送

   
   

スイス、レマン湖のほとりにある緑の町・ヴヴェイ。
偉大な喜劇役者であり、映画監督でもあるチャップリンは、
晩年、この広い湖を見下ろす大きな邸宅で、家族と共に暮らしました。


       

ハリウッドを追放され、アメリカを後にした彼がここに移り住んだのは、
映画「ライムライト」を完成させた翌年、64歳の時。


       

「死ぬことと同じくらいに避けがたいこと。それは生きることだ!」
老いた役者が踊り子を励ますセリフ…
それは、チャップリンが幼い頃から、自分自身に言い聞かせていた言葉でした。

       
       

ロンドンの貧しい芸人の子として生まれ、両親はすぐに離婚。
浮浪児同然だった少年時代…。
それでも彼は、孤独に耐え、懸命に生きてきたのです。
スクリーンの前の観客たちに、微笑みを手渡しながら。


       
       

この家で、子供たちとチェスを楽しんだり、ピアノを弾いたり…。
残りの人生は、このまま家族とのんびり暮らそう。
――そう思い始めるチャップリン


       

けれど、妻にはわかっていたのでしょう。
彼の孤独は、家族の愛だけでは癒されないことを。
ある日、朝食を食べ終わったチャップリンに、
彼女はこう言うのです。


  「さあ、もう10時ですよ。お仕事の時間です」


チャップリン『晩年を過ごした家』2001/8/8放送

ディレクター日記


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