武者小路実篤  『二人で生きた家』

(2005/10/19放送)


東京・武蔵野。
緑豊かな坂道を行くと、
文豪・武者小路実篤の、終の棲家に出会います。


   
この家で彼が暮らし始めたのは70歳の時。
妻と二人きりの穏やかな日々を過ごしました。


 
   
老いてなお制作意欲があふれる実篤は、
朝早くから書斎に入るのを日課とし、
小説に、書画に、数多くの作品を生んでいきます。
そんな彼をひたむきに支えたのは、妻・安子。
喜びも悲しみも夫婦で分かち合い、共に歩んでいきました。


   
けれど二人の幸せが、突然終わりを告げます。
安子が重い病に倒れ、やがて亡くなったのです。
失意のあまり言葉を無くした実篤は、
その二ヵ月後、妻を追うように、この世を去りました。


   
彼は生前、病床の安子に手紙をしたためています。
インクの滲み、それは実篤の頬を伝った涙のしずく・・・。


   
「安子へ 君を愛していた事を益々知った。
     本当にわかれて住むことは さびしい」


 
武者小路実篤の心はいまでもこの家で、
妻と寄り添っているのかもしれません。


武蔵小路実篤  『二人で生きた家』

(2005/10/19放送)

今回の放送のBGM♪
「WHAT IF」唄 COLD PLAY 
次回(10月26日)の『心に残る家』は
ゴッホ『命を燃やし続けた終の棲家』
をお送りします。
お楽しみに。