ディレクター日記
 〜千姫 (2005/1/19放送)〜

以前、姫路城のドキュメンタリー番組を見たことがあります。第2次世界大戦の空襲で姫路の街が焼け野原になった時、姫路城だけが焼け残ったのだそうです。
夜の空襲で、もちろん明かりなどありません。被害を免れて朝を迎えた人々は、まさかあの空襲で城が残っているとは思いませんでした。それが、白鷺のような優美な姿をそのまま留めていたのですから、人々には何とも神々しいものに映ったようです。
空襲の際、京都などの文化財が意図的に標的からはずされていたのは有名な話で、てっきり姫路城もそういう意図で焼け残ったものと思っていましたが、実は姫路城には特にそういう指示はなかったのだそうです。戦国の世から数奇な運命をたどってきた姫路城に、特別な思いを抱かずにはいられませんでした。
 close