ディレクター日記〜伊藤左千夫 (2005/6/8放送)〜 「野菊の墓」で知られる伊藤左千夫の生家は、昨日まで人が住んでいたかのように温もりのある建物でした。併設している成東町歴史民俗資料館には郷土の誇りとして、左千夫の遺品が数多く展示されています。この資料館で取材の窓口をしてくださった山口さん。「伊藤左千夫」通であるばかりか、文化財として左千夫の家の保存にかける熱意にあふれた方でした。山口さんの取材から、こぼれ話をひとつ紹介します。 「不朽の名作『野菊の墓』は現代のベストセラー『世界の中心で、愛をさけぶ』に匹敵する!」 という山口さんお気に入りの説。確かに詳しく聞いてみると、登場人物の設定などよく似ているのです。その通りなら、100年前の恋愛小説とは思えない普遍性を持ち合わせているわけで、木下恵介監督によって映画化され、その後も、山口百恵や松田聖子が主演するなど話題を提供してきたのも、うなづけるところ。現代と100年前の「純愛」を読み比べてみるのも面白いと思いました。 |