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石川啄木が新婚時代に住んだ家は、盛岡市の中心部の近代建築の合間に、ひっそりと残されていました。武家屋敷を改造した家で、啄木の住んでいた頃には3世帯が、終戦直後は7世帯もの家族が一つ屋根の下に暮らしていたそうです。隣の家族と隔てるものは、襖一枚だけ。しかし、啄木はそんな家にも貧しさのあまり3週間ほどしか住めなかったのです。 その啄木が食べたかどうかは分かりませんが、ロケの途中で管理人さんが「芋の子汁」を差し入れてくださいました。芋の子汁は里芋をベースに、しょうゆやみそで味付けた、野菜たっぷりの汁で、東北地方ではポピュラーな食べ物です。寒い寒いロケだったので、こころもおなかもすっかり暖まりました。管理人さんには、茶碗をお借りしたり、お湯を沸かしていただいたりで、大変お世話になりました。この場をお借りして御礼申し上げます。こうした心温まる親切も、ロケの楽しさの一つなのです。 |