梅蘭芳 (1894〜1961) 女形京劇俳優
北京で生まれる。祖父母・父母とも著名な京劇役者という梨園の名門で育った。
 8歳のとき、正式に昊菱仙に師事、女形の稽古を開始。10歳で北京の広和楼劇院で初舞台を踏む。1917年、『天女散花』を創作。代表的演目となった。
55年、文化部直属の中国京劇院が設立されると初代院長に就任。 56年5月、京劇代表団を率いて日本公演を行った。当時すでに60歳を超えていたが、その仕草の華やかさ、情感ある艶やかな歌唱は、日本の観客を魅了した。61年5月、67歳で最後の舞台に出演し引退。その後、中国劇曲学院院長に就任したが、わずか1週間後に没した。
 梅蘭芳没後に起こった文化大革命では、江青らによって京劇の大半が否定され上演禁止となり、女形も退廃的だと禁止された。文革後に女形は許されるが、伝統が断絶したためか女形を演じる俳優はごく少数で、現在では女性の役は女性俳優が演じるのが普通となっている。

*close*