■ 天得院(てんとくいん)   11月9日放送

東福寺の日下門近くにある天得院。開山当時は東福寺五塔頭のひとつでしたが、年とともに次第に荒廃、その後再興され、東福寺・文英清韓(ぶんえいせいかん)長老の住庵となりました。清韓は豊臣秀頼の請に応じ、方広寺大仏殿の鐘銘を撰文しましたが、「国家安泰君臣豊楽」の文が家康の怒りに触れ、毀されてしまいます。その後再建され今日に至っています。
また、ここは京都屈指の花の寺として知られています。春は緑の御黄衣桜、4月はキリシマツツジ、5月にさつき、9月には白の彼岸花。雪化粧のころにはさまざまな椿と、四季折々の花を楽しむことができます。中でも、6・7月と10・11月にスギゴケで覆われた庭を彩る桔梗が有名です。秋に咲く二度咲きの桔梗は、初夏に咲く花に比べ背が低いのが特徴。通常は非公開ですが、花の開花時期にあわせて公開されます。




紅葉が待たれる東山・東福寺。
今はまだ静かな境内ですが、やがて多くの人で賑わうことでしょう。



東福寺の本坊近くに建つ天得院は、風雅な庭で知られる塔頭です。


やわらかい秋の日差しに導かれ、本堂を奥へ進むと、美しい形の花頭窓が迎えてくれます。ここから望む庭には四季折々の風情があふれ、緩やかに進む京都の秋に、ようやく もみじも色づき始めました。


庭一面を覆うスギゴケに、彩を添えるのは二度咲きの桔梗です。
この花が終わると、まもなく庭は紅葉で染まります。

鮮やかな朱の器に秋の味覚が並ぶ紅葉膳。
お寺でしか味わうことのできない老舗の味が心を満たしてくれます。


深まる秋に浸る、天得院のひとときです。


天得院は今、保育園を併設し、子供たちの明るい声が境内を満たしています。
山門は東福寺の日下門のすぐ前にあるので、紅葉の名所・東福寺を楽しんだ後、このお寺に立ち寄りゆっくりされるのがオススメです。
桔梗は11月中旬頃まで、その後は紅葉が楽しめます。「紅葉膳」は、精進料理の老舗「矢尾治」によるもの。ここは明治元年に創業し、西本願寺・泉涌寺・建仁寺・清水寺など各御本山の御用達を勤めます。お店はなく仕出し専門ということですから、お寺でしか味わうことができません。
撮影時、「矢尾治」の専務取締役・上田さんのご好意により、我々スタッフも「紅葉膳」をいただくことができました。マツタケや栗など、秋の味覚を堪能させてもらいました。
日ごろ京都へ撮影に行っても、時間がなくてファミレスばかりで食事をしていた私たちにとっては、本当にありがたい至福のひとときでした・・・


「 Lady of the Moon 」
作曲者:Pamela & Randy Copus
演奏者:2002