■ 詩仙堂(しせんどう)   12月14日放送

石川丈山の隠居所として建てられた詩仙堂は正しくはおうとっか(おうとっか)といい凹凸のある土地に建てた住居という意味です。それがいつの頃からか中国の詩家36人の肖像を四方の壁に掲げた「詩仙の間」が中心だったため詩仙堂と呼ばれるようになってしまいました。寺というよりは別荘の趣きが強く、手入れの行き届いた庭には花が絶えることがありません。
石川丈山は33歳の時大阪夏の陣で戦功を挙げたのを最後として徳川家を辞して剃髪し朱子学を学びます。59歳で詩仙堂を造営し30余年間を詩仙堂で清貧の日々を過ごします。庭や建物の美しさとともに丈山の生涯にも心惹かれる詩仙堂です。




江戸時代初期の文人 石川丈山が
隠居の地とした詩仙堂。




丈山は九十歳で没するまでの三十年間を詩仙堂で
学問と芸術を友とした日々を送りました。



中国の詩人三十六人を狩野探幽に描かせ、
自ら詩文を書いて掲げ、詩仙堂の名の由来になった「詩仙の間」。



部屋から眺める庭園は丈山の清貧の生活を想わせる
冬の凛とした空気に包まれています。


創建時には「おうとっか」と名付けられ、
凹凸のある地形を巧みに利用した独特の景観がひろがります。


鹿おどしと滝の音がこだます庭に佇むと、大阪夏の陣で戦功を挙げながら、直後に剃髪して徳川家を離れ、学問と風雅の道を選んだ丈山の心に 少し近づけたような気がしてきます。


周囲に曼殊院、金福寺、円光寺と徳川時代の寺院があるこのあたりは京都でも指折りの観光スポット。
とりわけ詩仙堂の人気を実感したのは紅葉の時期に打ち合わせに行った時。狭い部屋に人が溢れ後方に座った人は庭を眺めるどころではなく他人の背中を見ている状態。
四季折々に違った美しさを見せる詩仙堂ですから私なら紅葉の季節は避けたいと思います。
狙い目はこれからの冬。観光客が少なくなるのでじっくり堪能できます。


「 PEACE RIVER 」
演奏者:Steve Raiman