■ 伏見稲荷大社(ふしみいなりたいしゃ)   2月15日放送
全国の稲荷社の総本社・伏見稲荷大社は、お正月や初午では日本でも屈指の人手と賑わいを見せる社です。そして今回は、その背後にそびえる稲荷山へのお参りを主題に番組を構成しました。いわゆる東山三十六峰の最南端に位置する海抜233mの霊峰で、全国に広く信仰されている稲荷信仰はこの神体山信仰(山自体に神が宿る)に始まるといいます。
多くの人は楼門をくぐり、本殿で参拝をすると帰ってしまいますが、稲荷山には本殿にも勝るとも劣らない数々の信仰の対象があります。参道には数千の鳥居が連なり、さながら朱色の迷宮に入り込んだかのようです。頂上までには、多くのお塚と呼ばれる祠があり、神の使いの狐の姿が山道のそこここに見られます。そして山頂には石で出来た立派なお塚が広がり、更には数え切れないほどの奉納鳥居が捧げられています。
稲荷山に登り、お塚を巡拝することをふるくから「お山する」といい、日夜多くの人が祈りをささげにやってくるといいます。幸せを祈り健康を願う庶民の想いを、山の形をした神様は長い歴史の中で見つめ続けているのです。 




日本の稲荷信仰の中心地・伏見稲荷大社。
この社の背後にそびえる稲荷山は、神の宿る山といわれています。
そこは、魔界とさえ言いたくなるような幻想世界・・・



あなたは、この二股の道のどちらを選びますか?
右と左で運命が変わるような迷宮への入り口。
数千本の鳥居が織りなす異次元空間。
折りを胸に登る者を、神の使いをひっそりと見つめています。



永遠に続くかのような錯覚の中、突然炎に浮かび上がる狐たち。
祈りと呪い、無垢な願いと黒い欲望・・・
狐の目を通して、神の山に心の全て見透かされているような、「畏れ」を感じます。



愛しい人と離れたくない・・・
病に苦しむ家族を救いたい。
山頂のお塚に込められた思いは、麓の参詣では知ることのできない、荘厳な世界です。




祈りの歴史が積み重なって山の形となり、その上にさらに新しい祈りを積み上げられていく・・・・・・
ここは人の想いがつくりあげた神様の山なのです。




迷宮のような千本鳥居、蝋燭の火に浮かび上がる狐、まさに異次元空間です。麓から見上げると結構な距離があるように見えますが、行く先々で全く違う表情を見せてくれる神の山は、山頂まで一度も飽きることなく我々の心を捉えて離しませんでした。率直に言うと、ちょっと怖い。夕方一人で歩くには結構勇気が要りそうな気がしますし、おびただしい狐もただの彫像というよりは「見いるぞ〜」という強い気配がするほどの存在感で、強いオーラを発しているように感じました。とにかくやたらにイッパイいるんです!!
とはいっても、そういう印象を持つのは怖がりのせいと東京の人間で見るものすべてが珍しいせいなのでしょう。家族連れ・ハイキングクラブ・恋人同士・・・皆さんとっても楽しげに登っていました。可愛い盛りのわが子が鳥居の間に見え隠れしながら遊んでいる様子を楽しげに眺める親御さんの表情や、照れながら初めて(多分・・・)のデートをするカップルが参道の茶店でぎこちなく飴湯をすする様子などは、京都の人々が昔から愛してきた「お山」の姿と寸分違わない平和でのどかな様子を見せてくれていました。
「なんだか怖いなあ」と思いつつ、心も和む。そういう意味でも、下界とはまったく異なった空間であることに間違いはありません。多少疲れますが、足回りさえしっかりしていれば登るのはそう難しくありません。今なら汗をかいてどうしようもなくなることもありませんし。機会があれば、本殿でお参りして帰らずに是非山頂まで登っていただきたい!茶店の甘酒は、体があったまって美味しいですよ。


「 須弥山遥 」
作曲者:矢吹 誠
演奏者:バンブー オーケストラ ジャパン