■ 宇治の散策 5月24日放送

宇治は古くから風光明媚な景勝地として知られ、いにしえの姿をとどめる寺院が数多くあります。
恵心院は822年に創建された古刹。かつては真言宗の大道場として繁栄しましたが、今は僅かに本堂と楼門を残すだけです。本尊は平安後期に作られた木造十一面観世音菩薩。宇治に残る数少ない10世紀の作例として、宇治市文化財に指定されています。
世界遺産のひとつ平等院は、1052年に時の関白・藤原頼通によって建立されました。創建当時は鳳凰堂(阿弥陀堂)を中心に、金堂・法華堂などのきらびやかな堂宇が立ち並んでいましたが、大半を南北朝の戦いで焼失。創建以来唯一残るのが鳳凰堂だけです。ここに安置される阿弥陀如来坐像は名仏師・定朝の傑作、藤原時代を代表する仏像です。
対鳳庵は茶道の普及を目的に建てられた宇治市営の茶室。平等院の鳳凰堂に相対していることから、この名が付けられました。




恵心院(えいしんいん)は、822年に創建された歴史あるお寺です。度重なる戦火により、今は本堂を残すだけですが、四季折々に絶えることなく花が咲き誇り、訪れる人が絶えません。



西を流れる宇治川の向こうに、藤原頼通が平等院を建てたのは平安時代。



今年、落慶(らっけい)950年を迎える鳳凰堂(ほうおうどう)は、創建当初の華麗な建築美を今に伝えます。この世の極楽浄土と崇められ、人々の不安な心を慰め癒してきました。


鳳翔館(ほうしょうかん)に安置される寺宝の数々。
中でも印象的なのは雲に乗り、浄土の天空を舞う雲中供養菩薩(うんちゅうくようぼさつ)です。細密な彫刻が施された美しい姿が心に残ります。




間近で見る鳳凰の、優美で凛々しい表情。

平等院は、いつの時代も、人々の心を捉えます。



宇治の散策、疲れを癒すのは一服のお茶。
宇治川のほとり、対鳳庵で過ごす優雅なひとときです。



恵心院は「花の寺」として知られています。4月には参道沿いに山吹が咲き誇り、境内では珍しい桜や石楠花の美しい花を見ることができます。番組で紹介した花は、シランと唐種おがたま。おがたまの花は、午後になるとバナナのような甘い香りを漂わせます。まもなく境内奥の紫陽花が色づき、訪れる方も増えることでしょう。
 ご住職のお話では、かつて、ここから宇治川越しに平等院の鳳凰堂を望むことができたそうです。宇治川を三途の川に見立て、はるか西の彼方にあるといわれた極楽浄土を再現しようと鳳凰堂が建立されたとか。今は宇治川も鳳凰堂も見ることができず、ちょっと残念です。
 平等院の鳳翔館は近代的な建物ですが、鳳凰堂あたりからは見えないように工夫されています。
梵鐘や雲中供養菩薩像、中堂の扉絵など数多くの寺宝が展示されていますが、個人的には鳳凰堂のシンボル、鳳凰を間近で見られることに深い感動を覚えました。いろんな角度から鳳凰をご覧になることをおすすめします。
 対鳳庵はめずらしい市営の茶室で、気軽にお茶席を体験することができます。作法がわからなくても親切に教えていただけるので、撮影の日も、若い女性のグループやカップルの姿を多く見かけました。


「 Gaelic Air 」
作曲者:Oliver Schroer
演奏者:Oliver Schroer