■ 常寂光寺 (じょうじゃっこうじ)
6月14日放送

江戸時代、日蓮宗の上人の隠居所として始まった常寂光寺。
静かで清らかな佇まいが、永遠・絶対の浄土を意味する常寂光土を想わせることからこの名が付けられました。 隠居所としての性格から簡素で素朴な山寺です。
鎌倉時代、この地には歌人・藤原定家の山荘があり、小倉百人一首誕生の場所でもあります。寺には定家の直筆や持仏が伝わります。




嵯峨野・小倉山の麓に佇む常寂光寺は江戸時代創建の鄙びた山寺。



運慶作の仁王像に守られる境内は若葉と苔が織り成す緑の世界。
雨に洗われて美しさを増した若葉が私を迎えてくれました。



桃山城から移された本堂も新緑と鳥の声に包まれています。


見落としそうな小さな庭。
慎ましく咲く花。そして若葉が私の心を癒してくれます。



境内に残る藤原定家の山荘 時雨亭跡。
定家はこの地で小倉百人一首を選びました。



私が覚えていた秋の小倉山の歌。
「小倉山 嶺の紅葉葉 心あらば 今一度の みゆきまたなん」

でも、若葉の美しさも格別です。



多宝塔まで登れば眼下の京の街に小倉山から緑の風がわたってゆきます。



下見に伺った時、ちょうど結婚式がありました。白無垢の花嫁が若葉の緑の中を進んで行く様子は夢の世界のような美しさで、思わず見とれてしまいました。
撮影当日は前夜の大雨に洗われ、これまで撮影してきた若葉とは全く違った、しっとりとした美しさを見せてくれました。
 みずみずしさ、木の精、若葉に囲まれる人間の安心感・・・こんなことを伝えたかったのですが、どうでしょうか?


「 Heartstrings 」
作曲者:Rolf Lovland
演奏者:Secret Garden