■ 実相院 (じっそういん)  11月8日放送

京都市北部の岩倉の地に鎌倉時代初期・1229年に創建された実相院は、天台宗寺門派の門跡寺院です。774年に及ぶ長い歴史の中で、戦国時代の兵火や江戸時代以降の天皇家との密接な関係など、興隆と衰退を繰り返してきました。門跡寺院ということで天皇家・公家との関わりが深く、さまざまな寺宝や歴史的文献が保存され、京都の貴族文化を継承する寺として名高いものがあります。南には奥比叡山を借景とする石庭が広がり、北側には池泉回遊式庭園が作られ、様々な四季の変化が寺の周囲を包み岩倉の自然の中での皇族の暮らしを髣髴とさせます。




京都市北部・岩倉の地に、鎌倉時代初期に建てられた実相院。
江戸時代以降、皇族の寺、「門跡寺院」として繁栄を極めました。



華麗な襖絵に彩られた客殿の奥の、天皇が鎮座した「上段の間」が、寺の格式の高さを物語ります。
都の喧騒を離れ、この寺を訪れた歴代天皇は、奥比叡の借景の石庭で、心を癒したのでしょうか。



今月末まで特別公開される、皇室ゆかりの寺宝の数々。
写実的で、美しい「授戒釈迦像(じゅかいしゃかぞう)」は、狩野幽汀(ゆうてい)の作です。



優しい女性の表情が特徴の三位局(さんみのつぼね)像は、木像の傑作。

人生の無常を、ひょうひょうと洒脱に描いた「骸骨読み歌図」。


鶴が舞い降り、飛び立つまでを描いた、狩野派の絵師の襖絵。
目を奪う見事な色彩です。



名高い「床紅葉(ゆかもみじ)」が真っ赤に染まるのも間近。
公家・皇族、訪れる様々な人々を癒してきた美しい岩倉の自然は、一年で一番華やかな、実りの季節を迎えようとしています。




大寺院ではないのですが実に見所の多いお寺で、短い番組の中でどうやって十分に紹介するか、頭を悩ませました。
石庭・池と築山の庭・襖絵・仏像・掛け軸・紅葉・古文書・お面、そしてお茶もいただける。どれをとっても静かな岩倉の地に来てゆっくりと時間を過ごすにはもってこいのすばらしいものばかり。番組の中では出来る限り多くを紹介したつもりですが、足りなかったり多すぎたりしなかったかなと気になってしまいます。
その中で、南側の石庭は個人的にはイチオシ・オススメでした!撮影日は好天に恵まれ心地よい気温だったせいもありますが、縁側に座って白砂をボーっと眺めていると、時間のたつのも忘れられそう(まあ実際にはアタフタ駆け回って撮影していたのですが)。
広い庭ということもあるのですが、開放感を感じるのはそれだけではなく、奥比叡の山並みが借景として背後にそびえ、その優しい稜線の美しさが眺める人の目に安らぎを与えてくれるのかもしれません。
仏像や書画が素晴しい保存状態で目にできるのも素晴らしい事で、京都の持つ歴史の奥深さをひしひしと感じますが、「庭園と借景」といった自然の造形は、保存されているというよりは昔と全く同じままの、時間を超えた風景を見られるといった不思議な感慨があり、京都って本当に不思議な所だな、としみじみ思います。
11月末までは、ライトアップも行われ、昼間とは違った幽玄な世界が広がるとのこと、楽しみです。でも厚着をしていくのをお忘れなく。11月の岩倉は、さっむいですよ〜!!!


「 Stardust 」
作曲者:GANDALF
演奏者:GANDALF