■ 駒井家住宅(こまいけじゅうたく)
  4月30日放送


駒井家住宅は北白川の閑静な住宅地、桜並木がある白川疎水に面して建っています。
京都帝国大学理学部教授であった駒井卓・静江夫妻の住居として、アメリカ人の建築家ヴォーリズの設計により着工、1927年(昭和2年)に建てられました。
外観は、当時アメリカで流行していたアメリカン・スパニッシュ様式を基調としたデザインで、主棟は約30坪、木造2階建てで、その北側に離れと温室を有します。また比叡山が一望される東に庭を広く設け、建築当初の状態がよく保存されています。
駒井家住宅は、歴史的・文化的価値があるものとして、1998年(平成10年)3月、京都市指定有形文化財に指定されました。



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北白川の閑静な住宅街に佇む駒井家住宅。
京都大学教授・駒井卓博士の私邸として
昭和二年に建てられました。

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駒井博士は遺伝学に功績を残し、
昭和天皇に生物学の講義をされた学者としても知られています。

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数々の西洋建築を手がけた
アメリカ人の建築家・ヴォーリズによって設計された邸宅は、
窓が大きく採られ、心地よい空間を作ります。

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居間に設えた腰掛け付きの出窓。
東山を望む明るいサンルームなど、
随所に行き届いた設備が見られます。

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ゆるやかで、差し込む光にぬくもりを感じる階段。
懐かしさに浸りながら上がった二階には、
博士が使っていた書斎が
当時のまま残されています。

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住む人の心を大切にしたヴォーリズの建築。
ゆっくり訪れたい駒井家住宅です。

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設計者のヴォーリズは、明治38(1905)年近江八幡に来日、高校の英語教師として赴任しました。
2年の教員時代を経て、建築設計の事務所や製薬の企業活動を展開。その近江兄弟社はメンソレータム(現:メンターム)として広く知られています。
また建築家としては、同志社大学のアーモスト館や四条大橋の西詰に建つ東華菜館などを手がけています。近年、保存か取り壊しかの問題で揺れている滋賀県の豊郷小学校もヴォーリズの設計によるもので、ニュースを見て関心を持つ方が増えてきたそうです。

邸内はとても落ち着く心地よい空間です。春には書斎の窓から桜の花見ができるし、夏には2階のサンルームから五山送り火の大文字を眺めることができます。
ゆったりと時間が流れていく、こんな素敵な家で暮らせたら、きっと心も豊かになるだろうな・・・そう思わせる駒井家住宅でした。


「 Baby Dayan 」
作曲者:中西 敏博
演奏者:中西 敏博