■ 芳春院（ほうしゅんいん） 　　5月14日放送 大徳寺の最北部に位置する芳春院は１６０８年、玉室宗珀を開祖として加賀の前田利家夫人松子が子供の利長・利常と共に建立。松子の法号の芳春院と名付け、前田家の菩提寺とした。　多くの公家・武士・茶人・文化人が集まり、寛永期を代表する文化的サロンであった。 大書院には近衛文麿公が京大在学中に書斎として使った部屋が残されている。

紫野に甍を並べる大徳寺。

その塔頭・芳春院が五月二十日まで公開中です。

新緑が眩しい芳春院は千六百八年、 前田利家の妻・「まつ」が建立した前田家の菩提寺。

利家の死後、江戸で人質となりながらも、 加賀百万石の礎を築いた「まつ」は、 多くの人に愛され、尊敬されてきました。

庭の石が赤子を抱く「まつ」の姿に見えると言われるのも、 人々のまつを慕う気持ちの表れです。

金閣・銀閣と並び賞される「呑湖閣。」

上層から望む比叡山。 その背後の琵琶湖を飲み干す｢呑湖閣｣という名からは 前田家の気概が偲ばれます。

寺に伝わる梅花石。 前田家の家紋・梅が鮮やかに浮かび上がっています。

波乱に満ちた人生を送った「まつ」が 長男・利長とともに静かに眠る芳春院です。

本来、枯れ山水の庭は建物から撮影するのが正しいのでしょうが、今回はサイドの窓から流れていくのが綺麗なので、正面の絵はあえて番組で紹介しませんでした。この移動カットがなんと１７秒。この番組に関わってからの最長の１カットです。 公開中とは言え、呑湖閣の上層、御霊屋は拝観できません。こうした所を見られるのがこの仕事の役得ですが、非公開の書院の襖絵が東山魁夷の麒麟だったのには驚きました。普通なら自慢したいくらいの襖絵ですが…京のお寺は奥が深いと改めて実感しました。

「 Angie 」 作曲者：MICK JAGGER/KEITH RICHARD 演奏者：The Rolling Stones