■ 哲学の道(てつがくのみち)
  9月17日放送


哲学の道は、若王子橋(にゃくおうじばし)から銀閣寺に至る約2kmの疏水ぞいの小道です。春は桜、夏は蛍、秋は紅葉とそれぞれに見所があり、四季を通じて賑わいを見せます。
一言で哲学の道といっても北側(銀閣寺側)と、南側(若王子神社側)では、雰囲気が変わります。北側は、銀閣寺が近いこともあり観光地として賑わっています。それに対し、南側は木が生い茂り山間の道といった色合いを見せます。思索にふけって歩くには南側がいいかもしれません。
哲学の道の起点には、熊野若王子神社があります。
1160年後白河法皇が紀州の熊野権現の神霊をうつし祀ったのが始まり。
ご神木は「梛(なぎ)」。悩み事をナギ倒すとして、その葉はお守りに用いられています。その他、境内には奇岩老樹が多く、夏は納涼、秋は紅葉の名所として聞こえてきます。また、境内の恵比須社にお祀りしてある等身大の恵比須像は、室町時代から伝わるもの。開運商売繁盛の願いを聞いてくれる神様として有名です。



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哲学の道は、銀閣寺周辺を流れる疏水ぞいの小道。
四季を通して賑わう石畳も、朝は静かなときを刻みます。

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その昔、哲学者西田幾多郎は、ここで木々に触れ歩き思索にふけったといいます。
「吾行く道を吾は行くなり」とは西田の歌。

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己の道をひたすらに追い求めた哲学者になぞらえ、想いにふけり歩を進めれば
路かたの花にやさしく包まれます。

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哲学の道の起点にたつ熊野若王子神社。
樹齢400年のご神木、梛が訪れる人を迎えます。

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如意が嶽のふもとにある境内には、齢を重ねた木々がたちならび、
まもなく秋の色に染まります。


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社中に祀られているのは室町時代から伝わるという等身大の恵比須様。
変わらぬ笑顔に憂いもいやされます。

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疏水沿いにある叶匠壽庵で、お茶と和菓子を味わい、
和らいだ日差しに季節の移ろいを感じます。

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ほのかに初秋が香る哲学の道です。




哲学者西田幾多郎が散策したという哲学の道は毎日表情を変えます。
撮影の時にも、前日と当日では咲いている花の色が変わっていました。(花を撮影していると、散策を楽しんでいた女性が親切に花の名前を教えてくれました。ありがとうございました)
西田幾多郎は、京大教授時代、学問的に成功を収めましたが、私生活では家族の死が重なり苦難のときをすごしました。「哲学の動機は人生の悲哀でなければならない」とは西田の言葉ですが、西田の苦悩に思い馳せ哲学の道を歩くと、また新たな発見があるかもしれません。
哲学の道は、歩く人を哲学者にしてくれます。


「 SOMETIMES 」
作曲者:Feilice Mancini
演奏者:Henry Mancini
歌唱者:小林 桂