■ 正法寺(しょうぼうじ)
  11月5日放送


正法寺は、800年ほど前、鎌倉時代の初期に創建されました。そののち、室町時代に後奈良天皇の勅願寺になり、隆盛を築き上げました。 江戸時代には、徳川家康の側室、相応院の菩提寺となり、さらに発展を遂げます。現在の伽藍は相応院の寄進によるもので、1629年頃に建立されたものです。 本堂、唐門、大方丈(いずれも重要文化財)の他、小方丈、書院、鐘楼(いずれも京都府指定文化財)など、近世前期の建物を、当時の規模そのままに保っています。
本堂の軒は、金箔張りの逆輪(さかわ)で飾られています。箱状の木製装飾品が700本の垂木に一つ一つかぶせられており、全国で唯一ここだけで見られるものです。本堂内陣には、阿弥陀如来及両脇座像が祀られています。鎌倉初期のものと推測されていますが、正座している菩薩像は大変珍しいものです。 大方丈上段の間は、高貴な方を迎える所。部屋全体が、襖絵、琴棋書画図で囲まれています。この襖絵には、全ての絵に金雲が描かれており、それが統一感を現しています。 その他、小方丈、書院、庭園など見所の多い正法寺です。



01
清流が旅人を迎える八幡市。
小高い山の麓に、鎌倉初期に創建された正法寺があります。
02
03
江戸時代には、徳川家康の側室、
相応院の菩提寺として隆盛を築き上げました。
04
05 本堂の軒を飾るのは、金箔張りの逆輪(さかわ)。
垂木に木箱を一つ一つかぶせる手の込んだ細工は、
他では見られない豪華な装飾です。

06
07
凛とした静けさに包まれた本堂内陣。
阿弥陀様の傍らで正座する菩薩の姿に、清廉な美しさを感じます。
08
09
大方丈(おおほうじょう)は高貴な方をお迎えした所です。
全ての襖絵に描かれた金雲が、絵に統一感をもたらし、
建物の内部に風流の世界を描き出しています。

10




11
12
見る方向によって、
落ち着いたたたずまいにも荒々しい断崖にも見える庭。

13
14
そよ吹く風が秋の色を深めています。
まもなく正法寺が紅く染まります。

15


正法寺の資料を見ると、「建久2年(1191年) 鎌倉初期に創建」とあります。 あれ?『いいくにつくろう鎌倉幕府』で鎌倉時代は1192年からでは?と思い、住職に尋ねたところ、 「たった1年のことなので、平安末期より鎌倉初期のほうが通りがよいのでそう記している。両方書くと誤解を招くかもしれないので、どちらか片方で紹介してほしい」とのことでした。おもしろいですね。  八幡市は、三つの川が流れる風光明媚な街です。最近では、羽生四冠のライバル、将棋の佐藤棋聖の出身地だそうです。八幡市駅から正法寺までのんびり歩いていると、歴史を感じる静かな街並みが続いており、しばし旅情に浸ることができました。京都周辺には、魅力ある街がたくさんあると改めて感じました。



「SEMPITERNA」
作曲者:LIBERA
演奏者:LIBERA