■ 高山寺（こうざんじ） 　　7月15日放送 栂尾の山腹に広がり、巨大な杉や老松に覆われた「高山寺（こうざんじ）」は、774年（宝亀５年）に光仁天皇の勅願によって開創された古刹。一時、荒廃したものの1206年（建永元年）、後鳥羽上皇の院宣により、明恵（みょうえ）上人が再興しました。1994年（平成６年）には、世界文化遺産に登録されています。日本最古の漫画といわれ有名な「鳥獣人物戯画」（国宝）、明恵上人樹上坐禅像（国宝）など数多くの国宝・重要文化財があります。そして、国宝の「石水院」は鳥羽院の学問所を移したもので、明恵上人の唯一の遺構。鎌倉初期の寝殿造りの優雅な趣を残す、住宅建築の傑作です。

京の西北、栂尾(とがのお)。 その山あいに、奈良時代に創建された高山寺があります。

しんと静まり返った境内には 齢を重ねた木々が生い茂っています。 その中にたたずむと、みずみずしい香が、 こころの奥にまでしみてくるようです。

石水院は、およそ八〇〇年前、 後鳥羽上皇から贈られたもの。

愛らしい童子の姿と自然を狭間に見る贅沢な装飾が 訪れる人を迎えます。

かんなのない時代に削ったという梁や、 天井の力強さに、建物の歴史を感じます。

鎌倉時代に描かれた「鳥獣人物戯画」。 人間のようにたわむれる動物たちは今にも動き出しそうです。

世界文化遺産に登録されている高山寺は、 芸術と自然が見事に調和したお寺。

石水院の縁側に立つと、 数百年変わらぬ美しい風景が広がっています。

古の文化とたたずまいを今につたえる、夏の高山寺です。

高山寺の石水院には、国宝「鳥獣人物戯画」のレプリカが展示されています。高山寺の撮影の前に、担当カメラマンがディズニーの関係者にインタビューしたようなのですが、そのインタビューで「ディズニーアニメは鳥獣人物戯画に影響を受けた」といったことを言っていたそうです。 なるほど、そういわれてみれば、本来大きさの違うカエルやサルが同じ舞台に登場し、人間のように動き回る様子は、ディズニーにつながるものがあるように思えます。 それはさておき、鎌倉時代に、動物たちを擬人化し楽しそうに動き回らせるという発想があり、それを優れた筆致で描いたということは、見れば見るほど驚きです。 高山寺の境内は、本当に森の中といったイメージです。鳥獣人物戯画を見た後に境内を歩くと、絵から動物たちが飛び出してその周りで遊んでいるのではないか、という思いにとらわれます。

「遥かなる西安」 作曲者：渡辺 雅二 演奏者：渡辺 雅二