相国寺瑞春院(しょうこくじずいしゅんいん)
  7月29日放送


相国寺塔頭の瑞春院は、水上勉の直木賞受賞作「雁の寺」の舞台となったことで知られています。 小説の由来となった襖絵が現在も方丈に残っており、また狩野探幽の掛軸など寺宝も数多く保管されてます。 庭園は夢窓国師の作風を取り入れた室町時代風の池泉回遊式。池のほとりには表千家不審庵写しの茶室「久昌庵」が佇み、この茶室への入口のつくばいが水琴窟となっています。



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今週は相国寺瑞春院(しょうこくじずいしゅんいん)を訪ねます。


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京都御所の北に構える相国寺山内の塔頭・瑞春院。
ここは作家・水上勉(みずかみつとむ)の直木賞受賞作「雁の寺」の舞台として知られています。

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平安時代に作られたという本尊は、六代将軍・足利義教(よしのり)から寄進されたもの。雲に乗った仏さまが見守るこの寺に、水上勉が入ったのは9歳の時でした。
ここで過ごした4年間の思い出を綴ったのが小説「雁の寺」です。

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厳しい禅の修行に耐えるため、彼がいつも眺めていたのが仏間に描かれた孔雀の親子。
自らをこの絵に重ね、故郷の母を思い出していたといいます。

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本堂の北には、夢窓国師の作風を取り入れた庭園が・・・ 訪れる人の心を癒すのは、雨に濡れ、 一層鮮やかになった緑の美しさ。

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茶室の前に設えた水琴窟が、澄んだ音色を奏でます。


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味わい深い、京の夏の旅です。




瑞春院は水上勉氏の小説「雁の寺」の舞台として知られていますが、番組でもご紹介した「雁の間」は、かつて住職しか入室が許されなかった部屋で、水上氏は雁の襖絵の存在を知らなかったそうです。実際に彼が見ていたのは、隣の仏間に描かれた孔雀の襖絵。当時は子どもだったので、それが何の鳥だったのかわからずにいましたが、直木賞を受賞した後で瑞春院を訪れて、雁の襖絵があったことを初めて知ったそうです。お寺には、水上氏が訪れた時の写真や直筆の書が飾られています。不思議な縁ってあるものなんですね・・・

ところで今年、瑞春院にふたつめの水琴窟が出来ました。池のほとりにある水琴窟までは庭園を歩いて池を渡らなければなりません。お天気に左右されず、また年配の方にも澄んだ音色を楽しんでほしいと、現住職のお母さまが方丈の脇に新しい水琴窟を作られたのです。お寺を愛し、訪れる人の気持ちを大切にされるお母さまの心に感動した取材でした。


「星の灯籠」
作曲者:妹尾 武
演奏者:妹尾 武