今週の放送内容

源光庵(げんこうあん)
10月7日放送

1346年、臨済宗大徳寺徹翁(てつとう)国師の隠居所として創建された源光庵。その後、大乗寺卍山 道白(まんざんどうはく)禅師により曹洞宗に改宗され、禅寺として庶民から信仰を集めました。
本尊の釈迦牟尼佛を祀る本堂には、「迷いの窓」「悟りの窓」と呼ばれる2つの大きな窓が並んでいま す。「迷いの窓」の4つの角には生老病死・四苦八苦≠ニいう意味が込められ、煩悩から逃れられな い人間の生涯を象徴しています。また、丸い円を描く「悟りの窓」は禅と円通≠表していると伝えら れ、何事にも捉われない大らかな境地を教えています。
本堂を修復するため2年前から拝観を中止していましたが、10月1日から再び一般公開されていま す。

写真

京都・心の都へ。
今週は、源光庵(げんこうあん)を訪ねます。


写真

室町時代に建てられて以来、
洛北に暮らす人々に、禅の道を説いてきた源光庵。

写真


写真

曹洞宗ならではの質素な境内は、
厳しくも清らかな空気に包まれ
慎ましげに咲く紫苑(しおん)の花が、
かすかに色を添えています。


写真

300年ぶりに修復された本堂には、
禅の世界を表すという2つの窓が待ち受けます。


写真

4つの角を持つ「迷いの窓」を眺めれば、
逃れられない現世の苦しみを想い…。


写真

円を描く「悟りの窓」を眺めれば、
苦しみから解き放たれた安らかな境地へ
辿り着きます。


写真

窓に向かう人々を、内陣から
見守り続けるお釈迦さま。
数え切れないほどの祈りを、
静かに受け止めてこられました。


写真

心がほぐれたら、源光庵にほど近い
「光悦茶屋」(こうえつちゃや)で一服のお茶を…。


写真

鮮やかな色を帯びた生菓子が、
実り豊かな季節の深まりを教えてくれます。


写真

風にさざめく木々も、赤く染まるのを待つばかり…。
ふと歩を緩め、空を仰ぎたくなる、都の旅路です。

写真


人通りもまばらな鷹ヶ峯にひっそりと佇む源光庵は、その存在を知らなければ通り過ぎてしまうような小さなお寺です。本堂を修復するため9月末まで拝観を中止していましたが、撮影の日(9月下旬)には地図を片手に門前を行き来する観光客が後を絶ちませんでした。
本堂の「迷いの窓」と「悟りの窓」の前には、“窓を好きなだけ眺めてほしい”というご住職の配慮から、大きなじゅうたんが敷かれています。そのじゅうたんの上に座り一人で窓を眺めていると、なぜか自分の家でくつろいでいるような不思議な懐かしさを覚えました。
紅葉の季節を迎えると窓から眺める庭は一層鮮やかに彩られますが、静かな本堂でじっくりと窓に向き合いたいなら、観光客が少ない今の季節の方がオススメです。


「秋の気配」
作曲・演奏者:妹尾 武