今週の放送内容

金剛王院(こんごうおういん)
(一言寺(いちごんじ))
6月23日放送

金剛王院の建つ場所は、かつて建礼門院に仕えた阿波内侍が建立した「旧一言寺」があり、現在も本堂には阿波内侍像が安置されている。 明治に醍醐寺の塔頭・金剛王院が移って来た後も、地元の人は親しみを込めて一言寺さんと呼ぶ。 それは本尊の秘仏・千手観音が貪欲にあれもこれもと願う人にはご利益がなく、一つだけどうしても叶えたいことを祈れば願いを聞き入れて下さると伝わるためで、今も庶民の信仰を集めている。
6月中旬から下旬にかけて、およそ3千株の紫陽花が見頃を迎える。

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今週は金剛王院(こんごうおういん)を訪ねます。


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伏見に建つ醍醐寺の塔頭、金剛王院。
 地元では親しみを込めて一言寺(いちごんじ)と呼ばれています。


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山門脇には市の天然記念物に指定されるヤマモモの古木。
 間もなく実が赤く熟して、華やかな装いに変わります。

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ひっそりと咲く紫陽花が
 鄙びた風情の寺に彩りを添えています。


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懐かしさを憶える境内。
訪れる人も少なく、時がゆっくりと流れています。


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大きな絵馬や華麗な彫刻に目を奪われる本堂には
 一言寺の名の由来となった千手観音が祀られています。

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秘仏の観音様は、たくさんの願い事は聞き入れず、
一言だけなら叶えてくださるといいます。
 そこから一言寺と呼ばれるようになりました。


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申し込めば拝観できる地蔵堂には、江戸時代の地蔵菩薩像。
 鮮やかな色が残る美しい仏様です。


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寺の名に因んだ芳治軒(よしじけん)の一言餅(いちごんもち)は
 地元の人たちの、この寺への篤い信仰を物語っています。


一言寺は観光寺院ではないので、何時行ってもひっそりとしています。 紫陽花もほとんどが落ち着いた青色で、この寺に似合っているような気がします。 紫陽花は土地の違いで花の色が決まるとも言われているので、土地までがこの寺に相応しいということでしょうか? 京の紫陽花の名所と言われる寺は、人間の背丈ほどの高さで様々な色の花が咲いていますが、それに比べると、この寺の紫陽花はまだ若いためか背が低く、何故かホッとします。境内も仏様も、懐かしい気がする一言寺です。
なお、撮影した千手観音は前立と呼ばれる複製したもので、秘仏の千手観音菩薩像は33年ごとの御開帳以外には滅多にお目にかかれるものではないそうです。また一言餅は、寺では買えません。


「Sonata D. Minork 9」
作曲・演奏者:D. Scarlatti・European Jazz Trio