今週の放送内容

天得院(てんとくいん)
6月30日放送

天得院は、京都五山に列せられる大寺院・東福寺の塔頭の一つで、南北朝時代に創建されました。 江戸初期には、東福寺・文英清韓(ぶんえいせいかん)長老の住庵となりましたが、清韓は、大阪の陣の口実になったとして有名な「方広寺大仏殿の鐘銘」を撰文した人です。「国家安康君臣豊楽」の文が、家と康を離したとして家康の怒りを招き、ついに寺は取り毀されたといわれています。
現在の堂宇は、江戸後期1789年に再建されたもの。びっしりと杉苔に覆われた枯山水の庭園が有名です。紅葉はもちろん、春のキリシマツツジ・さつきなど四季折々の花の寺として親しまれていますが、普段は非公開。6・7月と10・11月のみ、桔梗の花にあわせて庭園が特別公開されます。
また境内には、歌人の荻原井泉水(おぎわらせいせんすい)の句碑がたっています。

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京都 心の都へ 今週は天得院を訪ねます。


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京都五山(ござん)の一角を担う東福寺。


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由緒ある大伽藍が瓦を並べてたたずんでいます。


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通天紅葉(つうてんもみじ)とよばれる三つ葉の楓。
梅雨の晴れ間の光がさしこみ、
瑞々しい空気が心にまでしみてくるようです。

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東福寺の塔頭の一つ 天得院。


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本堂の前には、美しい苔に覆われた
枯山水の庭園が広がっています。


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青や白の桔梗(ききょう)の花が今、見ごろを迎え
桃山時代に作られこの庭を彩っています。


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桔梗をかたどった和菓子を味わいながら、
暮れていく庭を見るのも風情あるひとときです。

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天得院では今年初めて、夜間の公開が行われています。


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光に照らされた花が星のようにも見え、
心地よい夜風を楽しむ 京都の旅です。


天得院に撮影に行くと、お庭が見える縁側にずらっと拝観の方々が座っておられ、本堂の中まであふれていました。「平日にこんなに多くの方が拝観にいらっしゃるんだ!」と驚いたのですが、しばらく見ていると、たくさんの方がひっきりなしに拝観に来ている、ということではなく、来た方がみんな長居をしているので混んでいる、ということに気がつきました。
この日は梅雨の晴れ間のとても暑い日だったのですが、天得院の本堂は比較的涼しく、しかも冷たいお茶の無料サービスまであります。美しい庭を見ながら腰をおちつけると、もう立ち上がるのが嫌になるのも頷ける話です。その上、今年は初めて日没後にライトアップされたため、例年より大勢の方が訪れたのかもしれません。番組としては、無人の本堂を撮影しようと、しばらく待ったのですが、結局人がきれることはなく、拝観の方々に協力していただいて、ようやく撮影ができました。ご協力いただいたみなさん、ありがとうございました。


「Tonight」
作曲・演奏者:妹尾 武・KOBUDO