今週の放送内容

化野念仏寺(あだしのねんぶつじ))
9月8日放送

化野念仏寺は、約1100年前、弘法大師によって開創されたと伝えられるお寺です。その後法然上人の常念仏道場となり、現在は浄土宗に属するお寺です。
境内には、8千体を数える石仏が祀られています。これは、長い年月を経て無縁仏となったものを明治中期に地元の協力を得て集められたもの。浄土を具現化した光景のようにも見え、多くの参詣者が訪れます。

写真

京都心の都へ 今週は化野(あだしの)念仏寺を訪ねます。


写真

雨上がりの緑が映える、初秋の嵯峨野。
鳥居本(とりいもと)の古い家並みが瑞々しい空気に包まれています。


写真

風情ある石段を登った先に、およそ一一OO年前、
弘法大師によって創建された化野念仏寺があります。


写真

ご本尊は、鎌倉時代に作られた阿弥陀仏座像。
洗練された優雅な顔立ちが印象的な 湛慶(たんけい)の秀作です。

写真


写真

境内にはおよそ八千体の無縁仏(むえんぼとけ)となった石仏が祀られています。
何百年という歳月を刻んできたであろう仏様の数々。
安住の地を得て、肩寄せあうように静かに佇んでいます。

写真


写真

山間(やまあい)の古刹に時を知らせる鐘が響き渡ります。


写真

古来この地は、愛する人との永遠(とわ)の別れを悲しんだ場所。
お地蔵様はそんな人々をやさしく癒してきたのでしょう。


写真

嵯峨野がすこしずつ秋色に染まってきました。


化野と書いて「あだしの」と読みます。広辞苑によると、「あだし」というのは「はかない」という意味で、化野の地は、はかない物事の象徴であったようです。そのため、古来より様々な文学に登場します。
一例をあげると、
「化野の風になびくな女郎花」(源氏物語)
「誰とても留るべきかは あだし野の草の葉毎にすがる白露」(西行法師)
私事で恐縮ですが、最近、友人を亡くした私は、化野念仏寺で命の儚さを思い、涙したのでした。


「THE LIGHT IN DREAM」
作曲・演奏者:TARO IWASHIRO