今週の放送内容

遍照寺(へんじょうじ)
10月27日放送

遍照寺は、989年に宇多天皇の孫、寛朝僧正が広沢池畔の山荘を改めて寺院にしたものです。多宝塔・釣殿等、数々の堂宇が並ぶ広大な寺院でしたが、寛朝僧正没後次第に衰退し、鎌倉時代、後宇多天皇による復興の時期があったものの、応仁の乱で廃墟と化してしまいました。
奇跡的に難を逃れた「赤不動明王坐像」と「十一面観音菩薩立像」は草堂に移され、1830年、今の地で復興されました。現在の堂宇は、昭和から平成にかけて建立されたものです。

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今週は遍照寺(へんじょうじ)を訪ねます。


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日ごとに深まる北嵯峨の秋。


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広沢池に影をうつすのは、嵯峨富士と呼ばれる遍照寺山です。


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その名を伝える遍照寺は、かつて、広沢池を庭として、
数多くの伽藍を構える大寺院でした。

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その後、応仁の乱で荒廃しましたが、
奇跡的に難を逃れた二体の仏像を護るため、再興されたのです。


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本尊は、やさしい表情の十一面観音。
平安中期に作られたもので、しなやかな指の流れが特徴の、優雅な佇まいです。

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傍らの不動明王とともに人々の信仰を集め、
寺の歴史を今に伝えてきました。


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そしてこの秋、遍照寺では
普段見ることのできない寺宝が特別公開されます。
虎の姿が愛らしい狩野探雪による「竹虎図(ちくこず)」、
江戸後期の画家・大原呑舟(おおはらどんしゅう)の掛軸が並びます。

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ゆっくり歩いてまわりたい、秋の北嵯峨です。


広沢池近辺を訪れるのは久しぶりでしたが、あれほど情緒のあるところだとは思っていませんでした。ロケハンに行った時は彼岸花が満開で、のどかな田園風景に花の赤色が映え、とても美しい景色が広がっていました。
遍照寺山が池に映る姿を撮りたくて朝早くから撮影に向かったのですが、かなり大勢の方が散歩やジョギングを楽しまれていました。「おはようございます!」と声をかけてくださる方も多く、目の前に広がる美しい風景に心躍らせながら、気持ち良く撮影できたのを覚えています。
今回ご紹介した遍照寺は、けっして大きなお寺ではありませんが、やさしいお顔と立ち姿がとても美しい観音さまに出会えます。広沢池を中心とした北嵯峨の旅は、この秋オススメです!
ちなみに遍照寺では、夏の風物詩・広沢池灯籠流しを行なっています。


「Day Break」
作曲・演奏者:渡辺 雄一・石田 泰尚