今週は遍照寺(へんじょうじ)を訪ねます。
日ごとに深まる北嵯峨の秋。
広沢池に影をうつすのは、嵯峨富士と呼ばれる遍照寺山です。
その名を伝える遍照寺は、かつて、広沢池を庭として、
数多くの伽藍を構える大寺院でした。
その後、応仁の乱で荒廃しましたが、
奇跡的に難を逃れた二体の仏像を護るため、再興されたのです。
本尊は、やさしい表情の十一面観音。
平安中期に作られたもので、しなやかな指の流れが特徴の、優雅な佇まいです。
傍らの不動明王とともに人々の信仰を集め、
寺の歴史を今に伝えてきました。
そしてこの秋、遍照寺では
普段見ることのできない寺宝が特別公開されます。
虎の姿が愛らしい狩野探雪による「竹虎図(ちくこず)」、
江戸後期の画家・大原呑舟(おおはらどんしゅう)の掛軸が並びます。
ゆっくり歩いてまわりたい、秋の北嵯峨です。