今週の放送内容

妙心寺・麟祥院(みょうしんじ・りんしょういん)
2月16日放送

妙心寺の始まりは建武4年(1337年)。花園上皇の発願により関山慧玄を開祖に迎え、上皇の離宮が禅寺に改められました。臨済宗妙心寺派の総本山で、境内には47の塔頭があります。そのひとつ麟祥院は、春日局の香華時として碧翁愚完を開祖に迎え、寛永11年(1634年)に建立されました。
天正10年(1582年)、本能寺の変で明智光秀軍の指揮をとっていた春日局(本名:福)の父・斎藤利三が豊臣秀吉軍に天王山で敗れ、栗田口に遺骸をさらされました。これにより福は、逆賊の娘として不遇な少女時代を送ります。この時援助してくれたのが、父の友人で画家の海北友松や母の親戚・三条西家。また、徳川三代将軍家光の乳母を捜しているときに、福を推薦してくれたのも海北友松と三条西家でした。本堂の雲龍図を描いた海北友雪は、海北友松の息子。春日局は、画家として1人前になる前の、18歳で父を亡くした友雪を家光にお目通りさせ、父の後を継ぐ画家として世に出します。そして、この襖絵を描くという歴史的な大仕事を用意しました。
御霊屋に安置されている春日局木像は、小堀遠州作です。

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今週は妙心寺・麟祥院を訪ねます。


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冷たい雨が降る妙心寺。


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威厳漂う仏殿には、見るものを圧倒する大きな須弥壇。


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弟子を従えた釈迦如来像は、蓮花を手に、教えを説く姿が表現されています。


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麟祥院は、乳母・春日局の冥福を祈り、徳川家光が建立したお寺です。


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御霊屋に安置されているのは春日局像。


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大奥に生きた女武将のイメージとは遠い、優しいお顔で微笑みます。


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本堂には、春日局と親交が深かった海北友雪が描いた雲龍図。
2匹の龍が生き生きと天を舞います。

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母のように慕った春日局。
家光の思いが溢れる麟祥院です。


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花ごころでいただく湯豆腐は、散策で冷えた体を温めてくれます。

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梅の蕾が開く頃、妙心寺・麟祥院は暖かな日差しに包まれます。


麟祥院の春日局像の前には、普段は戸帳が掛けられていますが、今回は撮影のために特別に外していただきました。戸帳を外すことは滅多にないらしく、麟祥院の和尚さんですらも、春日局像の背後に蓮の花が描かれているのを見るのは、今回の撮影が初めてだったそうです。おかげさまで、春日局の表情もよくわかり、とても貴重な映像を撮ることができました。
今回の特別公開は、花園会館が主催する“閑寂の禅”という企画で、花園会館の和尚さんに案内してもらいながら、通常は非公開の仏殿や麟祥院を拝観することができます。食事付きのプランで、希望によってはお経を唱和したりするなど、普段では体験できないプランも考えていらっしゃるようです。
この機会に、ぜひ、ゆっくりと禅の世界を体験していただきたいと思いました。


「ナスカ Acoustic Ver.」
作曲・演奏者:瀬木 貴将