今週の放送内容

冨田屋(とんだや)
6月6日放送

織物で知られる西陣は、昔ながらの町家が今も残る町。もとは呉服問屋である冨田屋もそのひとつです。明治18年に建てられたこの建物は国の登録有形文化財の指定を受けたのを機に「西陣くらしの美術館」として公開が始まり、町家の見学だけでなく、「京都のしきたり」や茶席などを学ぶこともできます。

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今週は冨田屋(とんだや)を訪ねます。


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織物で栄えた西陣は昔ながらの町並みが残る静かな街。


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明治の頃よりこの地で呉服問屋を営んできた「冨田屋」は
古き良き京都の暮らしぶりを今に伝えています。


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およそ130年前に建てられた「京町家」は
奥に長い京都独特の建物。

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中には、季節と風を感じる事が出来る六つの坪庭があります。


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眩い光が庭の若葉を照らし始めると、
町家は夏のしつらえに衣替えします。
古のころより受け継がれてきた、暑さをしのぐ為の工夫。

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襖は目にも涼やかな“すだれ”に替えて風通しを良くし、


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畳の上には竹の皮で編んだ“あじろ”が敷かれます。
足の裏からも涼が感じられる、先人達の知恵が生きています。


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この時期、夏の暑さを乗り切れるよう
氷に見立てた「水無月」というお菓子を食べるのは、昔からのしきたり。


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都はすっかり夏の装いです。


写真 6月に入り学生服や街中の装飾などは衣替えになり、すっかり季節は夏に移り変わりました。京都の町家と呼ばれる古い家屋も夏のしつらえに衣替えです。

撮影させて頂いた冨田屋は明治時代から続く呉服問屋ですが、予約をすれば130年前に建てられた「京町家」の見学や、古き良き京都のしきたりなどの生活ぶりを知ることができるんです。日なたと日陰に坪庭を配する事で風を起こし、“よしず”や“あじろ”、“すだれ”を使いその風をうまく座敷に取り入れるなど、夏を快適に暮らすための先人たちの知恵が詰まった構造の町家は、現代の地球温暖化防止策にも十分通用します。改めて昔の人の偉大さを感じました。
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そんな昔ながらの家屋の撮影には、普段以上に気を使いました。普段のお寺さんに比べて町家は狭く、しかも重い撮影機材では建物を傷つけてしまう可能性があるのです。そのため機材の下には普段以上に厚めの敷物を敷き、照明用の三脚にはテニスボールを改造して取り付け、傷つけないように工夫しています。
こうしてスタッフも先人達に負けない位、知恵を絞りながら毎回撮影しています。


「雨の匂い」
作曲者・演奏者:つのだたかし