第9章 王妃の私的な離宮:トリアノン

ルイ16世は1774年に王妃にプチ・トリアノンを与えた。すぐに「小さなウィーン」と呼ばれるようになったトリアノンは、イギリス・中国式庭園やジュ・ド・バーグ(環遊び)、小さな劇場で豊かに彩られた。私的で親密な邸宅であるプチ・トリアノンで、マリー・アントワネットは大胆なファッションを思う存分満喫した。1783年、マリー・アントワネットは、人工的な池の周りに、何軒かの農家を作らせ、宮廷の煩わしさや陰謀、中傷から逃れ、お小姓たちとひと時の牧歌的な暮らし楽しんだ。王妃のサークルには、優雅で美しいことで名高いヴォドルイユ伯や、コワニー侯爵、ブザンヴァル男爵も加わった。彼らはいずれも王妃とともに、プチ・トリアノンの劇場の舞台に立って素人演劇を楽しんだ。王妃は古い宮廷のしきたりに囚われることなく、様々な人々と交遊したが、その舞台となったのが、トリアノンであった。

エリザベト=ルイーズ・ヴィジェ・ル・ブラン 《マリー=テレーズ・シャルロット、通称マダム・ロワイヤルとその弟の王太子ルイ・ジョゼフ・グザヴィエ・フランソワ》 1784年 油彩、カンヴァス 132×94cm ヴェルサイユ宮殿美術館 ©Château de Versailles (Dist. RMN-GP)/©Christophe Fouin
ピエール=フィリップ・トミール 《通称「二羽の雛鷲のついた」置時計》 1787年頃および1837年 ブロンズ、金鍍金、古色づけ 43×38cm ヴェルサイユ宮殿美術館 ©RMN-GP (Château de Versailles)/Droits réservés
エリザベト=ルイーズ・ヴィジェ・ル・ブラン《ゴール・ドレスを着たマリー・アントワネット》1783年頃 油彩、カンヴァス 92.7×73.1cm ワシントン・ナショナル・ギャラリー、ティムケン・コレクション Courtesy National Gallery of Art, Washington
フランス、またはスウェーデンの画家 《アクセル・フォン・フェルセン》 18世紀 油彩、板 15.8×15.6cm ノルシェーピング、レフスタード城/エステルイョートランド美術館 Photographer Jonas Karlsson/Östergötlands museum
フランソワ・デュモン 《マリー・アントワネット》 細密画:1792年以降/箱:1815年頃 象牙に描かれた細密画、金枠付きの鼈甲の小箱、頭髪 高さ2.3cm、直径7cm ヴェルサイユ宮殿美術館 ©RMN-GP (Château de Versailles)/©Gérard Blot
クロード・ルイ・シャトレ 《ライトアップされたトリアノンの岩場とベルヴェデーレ亭》 1781年 油彩、カンヴァス 53.9×73.2cm ヴェルサイユ宮殿美術館(パリ、カルナヴァレ・パリ歴史美術館より寄託) ©Château de Versailles (Dist. RMN-GP)/©Jean-Marc Manaï

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