世界まる見え!テレビ特捜部
07/09/10 OA
謎の爆弾カルト集団を追え!
1996年4月1日。
ワシントン州スポーカンのスポークスマン・レビュー新聞社で、
強力な鉄パイプ爆弾が爆発!
その数分後、2キロほど離れたUSバンクの支店でも、すさまじい爆発が起こった。


なんと銀行にやってきた、覆面をかぶった二人組の男たちが
手際よく現金を奪うと、鉄パイプ爆弾に火をつけ逃走したのである。
この二つの現場には、犯人を特定出来る手がかりは
何一つ残っていなかったが、犯行声明のような、
妙なマークの書かれたビラが発見された。
そこには、アルファベットのPに十字架を重ねたマークが記されていたのだ。


実はこれ、狂信的なカルト集団『フィネアス・プリーストフッド』のシンボルマーク。
このメンバーは、自分たちが神からアメリカ政府転覆を命じられたと信じ、
日々、戦闘訓練を行っていると言う。


ただ、フィネアス・プリーストフッドは、まとまった組織を持たず、
少人数に分かれてバラバラで活動している為、
犯人を特定することは出来なかった。


そして、連続爆弾事件から3か月後…
今度は産婦人科病院の前で、爆弾事件が発生。
すると同じ頃、最初に襲われたUSバンクが、またしても襲われていた!
唯一の手掛かりは、銀行の防犯カメラが捉えた犯人の映像。
だが、覆面に、ひざ丈の長い上着、ジーンズをはいたその姿からは、
何の特徴も見つける事が出来なかったのだ。


一方、FBIは、この爆破強奪事件を、最初の事件と同一犯だと確信。
捜査を進めるうちに3人の男が浮上した。
その内の一人には、武器を不法購入した前科があったため、尾行を続けた結果
この3人が犯人であると確信し、とりあえず逮捕に踏み切ったのだ。


だが、この3人が連続爆弾犯であるという、確固たる証拠がない!
そこで、スーパー頭脳集団、FBI科学捜査班が登場。
逮捕した3人と、防犯カメラに映った犯人が、
同一人物であると証明することは出来ないか、その難題に挑んだのだ。


その担当となった、リッチー・ボーダブディ科学捜査官は
まず、銀行の防犯カメラの映像をコンピューターで拡大し、
犯人の衣服や所持品を、3人組のアジトから押収したものと比較。
しかし、覆面は市販のスキーマスク、上着も市販のもの、
銃にも、目立つ傷などを見つけることは出来なかった。


そこで次に、リッチー捜査官が目をつけたのは、
なんと犯人が履いていた、どこにでも売っているような普通の『ジーンズ』。
そんなものから、いったい何が分かると言うのか?


実は、ジーンズの脇にある、縫い合わせ部分の色の落ち方は千差万別。
ジーンズを縫い合わせる作業は、ミシンによる手作業で行われており、
この時、職人の力の入れ方によって、
縫合わせの部分に、そのジーンズ特有の凹凸が出来るのだ。
そして、その縫い目の凹凸が、履きこんでいくうちに、
そのジーンズ独自の色落ち模様となって現れるのである。


リッチー捜査官は、防犯カメラに映った犯人のジーンズの縫い目を拡大、
最新の画像処理を施して、色落ち具合を確認。
さらに、アジトから押収したジーンズを、防犯カメラ映像と同じ角度から撮影し、
その2つを重ね合わせてみた。
すると、押収したジーンズと、犯人のジーンズの色落ちがぴったり一致!
3人と犯人を結びつける、重要な証拠となったのだ。


こうして逮捕から1年後の1997年10月31日、
ヴァン・メレル、ロバート・べリー、チャールズ・バービーの3人は、
強盗などの罪で終身刑を言い渡されたのである。


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