2回目でもおいしい!目がテン!?ライブラリー


なぜ酔うの? 飲酒 の謎  #559 2000/12/03

 いよいよ12月、忘年会の季節がやってきました。お酒を飲む機会が多くなりますね。今回の「目がテン!」は、朝っぱらから“お酒に酔うこと”を徹底的に科学!お酒に関する様々な俗説、噂話を科学で徹底的に検証します。これを見れば、お酒と上手にお付き合い出来ること間違い無し!?

 日本人はお酒に弱いって本当?そこで「目がテン!」では、日本人と、アメリカ、アフリカ、ヨーロッパ各地の人々を集め、アルコールを染み込ませたバンソウ膏を肌に貼り、赤くなればアルコールに弱いことがわかる、アルコールパッチテストを決行!すると全員反応ナシ。それに対し、日本人で同様の実験を100人に行うと、30人に反応が出ました。外国の方と日本人とどこが違っていたのか?その秘密は体内のアルコールを分解する仕組みに隠されていました。

 お酒を飲んだとき、そのアルコールはまず胃で20%が吸収され、残りの80%は小腸から吸収されます。この吸収されたアルコールは血液に溶け込んで肝臓に送られ、アセドアルデヒドに分解されるわけですが、これこそが悪酔いの原因となる物質なのです。それが酢酸に分解されて初めて無毒になります。この時必要なのが、アセドアルデヒドを分解する酵素です。この酵素は2種類あるのですが、その一方の酵素の働きが悪い人がいて、アセドアルデヒドが分解しきれずに体内残ってしまいます。これがお酒に弱いということなのです。この酵素の働きの強い弱いは生まれつき遺伝で決まっています。しかし酵素の働きが弱い人の割合は、アメリカ・ヨーロッパ・オーストラリア・アフリカなどの白人、黒人では何と0%、アジア諸国や南米などのモンゴロイドだけが持つ遺伝要素だったのです。統計では日本人の約40%がお酒に弱い体質です。

所のポイント日本人など黄色人種は、生まれつきお酒に弱い人種なのだ!


 お酒を飲んだ後のラーメン。さんざん飲んだり食べたりした後なのに、なぜラーメンが食べたくなるのでしょう。どうやらお酒を飲むとよく食べてしまうらしいのです。「目がテン!」では居酒屋に書くしカメラを設置。お酒を飲んでいる人の食べる量を測定しました。やって来たサラリーマン4人組は1人当たり約1000kcalをペロリ。半日分のカロリーをほんの数時間でとってしまいました。それでもまだラーメンが食べたくなるというのは、脳がある命令をしていたからなのです。実はお酒を飲んだとき、アルコールを肝臓で分解するのに糖分を必要とします。お酒を飲めば体内の糖分がどんどん消耗されて血糖値、つまり血液中の糖分の割合が下がります。つまみなどで糖分をとれているはずなのですが、それでも追いつかずに血糖値は下がり続けます。血糖値が下がると、脳は空腹の指令を出し続けます。」そのため、飲み終わった後に、最後の締めとしてラーメンが食べたくなるというわけです。

所のポイント飲んだ後にラーメンを食べたくなるのは、血糖値が下がるから!


 広辞苑に面白い言葉が有りました。「酒に別腸有り」。お酒が好きな人は、お酒専用の内臓を持っている、という意味なのですが、お酒が好きでない人でも、ビールが、水などよりもはるかに多くの量を飲めて驚くことは有るはず

胃のレントゲン写真  ビールには本当に別腸が有るのでしょうか?3月の「別腹」実験に続いて、またしても「目がテン!」が、ビールを飲んでいる時のお腹の中を覗いてしまいました。まず水を飲めるだけ飲んでもらいます。すると1.5lでギブアップ。その時胃の様子を見ると、胃の容積いっぱいに水がたまっています。水は、体が水分を要求しない限り、水は胃に溜まるだけで腸にはあまり行かずに吸収されることがありません。次にビールを飲んでもらうと、先ほどの限界だった1.5lを軽々突破してしまいました。その時、胃の先端部が活発に動いてビールが小腸へ送られています。これは、ビールのアルコールと炭酸ガスが胃の細胞を刺激して活発化していたためだったのです。その結果、ぜんどう運動という動きで胃と腸の間にある「幽門」という弁が開き、ビールが腸へ送り出されます。腸に入ったビールは吸収されて尿となります。そしてその分胃にスペースが出来て水よりもたくさん飲めるというわけです。

 二日酔いに柿が効く!?という噂が。果たして本当なのでしょうか?二日酔いはアルコールが分解されたアセトアルデヒドが血中に残った時起こるもの。「目がテン!」では双子の女の子にカキジュースとミカンジュースを飲んでもらって、同じ量のお酒を飲んでもらいました。30分後に呼気に含まれるアルコールの濃度を測定すると、カキジュースを飲んだほうがはるかにアルコールの濃度が低かったのです。そこで今度は胃カメラを使ってカキジュースを飲んだときの胃の変化を調べてみました。するとジュースを飲んだとたん、たちまち赤い点々が見えるようになりました。

胃カメラの映像  これはタンニンのしわざでした。タンニンとは渋柿などを食べた時に舌が感じる、あの渋さの原因です。普通、アルコールが胃に入るとすぐに吸収が始まり、アルコール分子が胃の粘膜を通り抜けて血液に入るのですが、柿を食べると、カキに含まれているタンニンが粘膜のタンパク質と反応して凝縮されてしまい、アルコールの分子が吸収されにくくなるのです。


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