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 都心で発見!冬の昆虫  #619 (2002/02/17) 

 冬真っ盛りの今、動物は冬眠したり冬毛になったり、植物は葉を落としたりして冬を越します。では昆虫はどのようにして冬を越しているのでしょう?そこで矢野さんが小学生と共に、東京タワーから半径3キロのまさに都心で冬の昆虫探しに乗り出しました。

虫を探す  まず子供たちが探し始めたのは日なた。やはり暖かい所でということなのですが、これが探しても探してもなかなか見つかりません。すると同行した昆虫の専門家が言いました。「日陰を探してごらん」。するとゴマダラチョウの幼虫やカミキリムシの一種の幼虫など次々と昆虫が見つかったのです。
 いったいなぜ冬の昆虫は日陰を好むのでしょう?日なたと日陰で温度を測ってみたところ、日なたでは日中の暖かい時と寒い時の気温差は16度。それに対し日陰は9度でした。昆虫は気温に合わせて体温を変化させる変温動物なので、なるべく温度変化の少ない場所を好むのです
 さらに冬の昆虫は寒さをしのぐため、木の皮の下や、石の裏などにも結構いるのです。

所さんのポイント
昆虫は、暖かい日なたより、気温変化の少ない日陰のほうが好きなのだ!

 見つかった冬の昆虫たちを見てみると、成虫も幼虫もみんな動きが鈍いのです。試しに使い捨てカイロの上に載せてみると、活発に動き出しました!実は冬の昆虫は“休眠”という状態にあるのです。休眠状態では、通常の時に比べ、呼吸量は半分以下しかありません。呼吸量を押さえることでエネルギーを消耗しないようにしていたのです。
 さらに休眠中の昆虫はえさを食べません。これはえさが体が凍結するきっかけになってしまうのを防ぐためなのです。

 万が一、冬の昆虫が凍ってしまったらどうなるのでしょう?そこでクワガタムシの幼虫をマイナス25度の冷凍庫の中に入れてみました。バナナもコチコチに凍り、釘も打てるほどの寒さです。幼虫もカチカチに固まってしまいました
 そこでこの幼虫をドライヤーで温めてみました。が、30分たっても反応無し。やはり死んでしまったのかと思ったその時、なんと幼虫が動いたのです!さらにカイロの上に載せてみると活発に動き出したのです!
 しかしなぜ凍っても死なないのでしょう?それは体液のグリセリンという成分のおかげでした。グリセリンには凍結を防ぐ作用があるのです。昆虫は、冬の間だけ、このグリセリンを体の中で作り出しているのです。
 そのため冬でも体が凍結せず、万が一凍っても、グリセリンが水分と結び付き、水分の凍結が細胞を破壊するのを防ぐのです。このため解凍すると細胞は元に戻り、昆虫は蘇ることが出来るでした。

所さんのポイント
昆虫は万が一凍結しても、生き返ることが出来る!

クロバネフユシャク(メス)  休眠中で殆ど活動しない冬の昆虫。しかしこんな真冬に活発に活動する唯一の昆虫がいました。それはフユシャクガ。この不思議な昆虫を神奈川の雑木林に矢野さんが探しに行きました。見つけたフユシャクガは驚いたことに、メスに羽根が無いのです!
 このガは、ほかの虫との競争を避ける意味もあって、冬に卵を産みます。羽からは熱の放散がかなり有るため、出産に備え、無駄なエネルギーを使わないためメスには羽がないのです。
 さらにこのガには口もありません。昆虫はもともと冬にエサは食べません。冬しか活動しないフユシャクガはエサを食べる必要がないので、口も無くなってしまったんです。

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