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ワカサギと氷の 諏訪湖
第767回 2005年2月6日


 長野県に位置する諏訪湖は、冬になると興味深い出来事が数多く起こる湖です。そこで今回は、個性的な湖・諏訪湖を、様々な角度から科学しました。

 諏訪湖の冬の名物と言えば、湖の表面に張った氷に穴を開けてのワカサギ釣り。しかし、諏訪湖に到着した矢野さんはビックリ。諏訪湖は氷に覆われていなかったのです。近年温暖化の影響で、氷の張り方が薄くなっており、現在では氷に穴を開けての釣りも制限されているのです。
 しかしその代わりに、現在はお座敷釣り堀のようなドーム船の中で、ワカサギ釣りを楽しむことができます。なんと、いつもは1尾も釣れないあの矢野さんも、3時間で154尾もワカサギを釣ってしまいました。しかし、ワカサギ釣りの達人に聞いてみると、湖が凍るともっと釣れるようになるというのです。なぜなのでしょう。

ワカサギ  そこで、諏訪湖の状況を実験室で再現して調べてみました。まず湖の水を水槽に張って、中にワカサギを入れます。そして水槽を暗い部屋に置き、一ヶ所にスポットライトを落としました。すると、ワカサギは光を差した方に集まってきたのです。光の位置を動かしてみても、やっぱり明るい方に集まってきたのです。
これは、ワカサギのエサである、動物プランクトンが、走光性といって、光の方に集まる性質があるから。なので、氷が張った湖に穴をあけると、動物プランクトンにつられてワカサギも集まってきて、釣りやすくなるというわけなのです。

所さんのポイント
ポイント1
氷が張った所に穴をあけると、明るい穴の下にエサの動物プランクトンが集まるので、ワカサギも寄って来て釣れるのだ!!

 諏訪湖は、周囲に精密工業の工場が多く、別名、東洋のスイスとも言われる湖。さぞかし水もきれいかと思いきや、なんと諏訪湖の水は随分濁っていたのです。
 それは諏訪湖には、31本もの多くの川が流れ込んでいて、同時に多くの堆積物も運ばれてくるからなのです。これが諏訪湖を豊かな湖にしているのですが、試しに諏訪湖の水深を測ってみると、平均水深は4.1mとかなり浅く、中心でも6、7mしかないのです。底を調べてみると、周りの川から流れ込んだ泥や生物の死骸などが沢山積もっていました。
 実は諏訪湖は、この堆積物のせいで、年間2cm程度浅くなっているそうなのです。このままだと、あと200〜300年程度で諏訪湖は埋まってしまう計算になります。また、そうならなくても、湖とは中央部の深さが5〜10m以上あるものという定義があり、このまま埋まっていくと、諏訪湖は湖から池に変わってしまうかもしれないそうです。

御神渡り  また冬の諏訪湖では、世界的にも珍しい氷の神秘的な現象が見られます。それは、御神渡り(おみわたり)と言って、凍った湖の表面に割れて盛り上がった氷が、広い範囲に渡って山脈状に連なる現象です。昔から人々は、諏訪湖を挟んで両側にある神社の神様が、出会うために渡った道だとして崇めていました。しかし、何故このような現象が起こるのでしょう。
 それは、諏訪湖の気候に秘密がありました。諏訪湖は、759mと標高が高いので平均気温が低く、さらに周囲を山に囲まれて盆地になっているので、10℃以上も寒暖差が生じます。その気温の変化に合わせて、諏訪湖の氷にも変化が現れるのです。
 まず気温が寒いときは、氷は収縮するので亀裂の隙間が生じ、その割れた部分に新しく薄い氷ができます。そして暖かくなると、氷は膨張して縮んだときに出来た薄い氷が押し出されてしまうのです。これが御神渡りの発生するしくみなのです。しかし近年はやはり温暖化の影響で、御神渡りが発生しない年も増えているそうなのです。

所さんのポイント
ポイント2
御神渡りは、諏訪湖の寒くて寒暖差が激しい気候によって、氷が伸び縮みして起こる現象だった!

 諏訪湖のすぐ近くには、最高で50mも吹き上げる日本最大の間欠泉もあります。実は、諏訪湖の近辺には糸魚川−静岡構造線という日本最大の断層があり、その影響で間欠泉が出るのです。
 さらに、その断層は諏訪湖の誕生にも関わっていました。約30万年前に、その断層がずれて地面が低くなり、その部分に水がたまって諏訪湖が誕生したのです。このように断層の変化で出来た湖を断層湖と言い、日本最大の湖・琵琶湖もそうですが、数の少ないものなのです。



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